PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「アーカイブデザイン~好きなモノから私を再発見~」

ダイナマイトブラザーズシンジゲート代表/アートディレクター/エディトリアルデザイナー

野口 孝仁 氏Takahito Noguchi

PROFILE
1999年、株式会社ダイナマイト・ブラザーズ・シンジケート設立。「ELLE JAPON」「装苑」「GQ JAPAN」「Harper’s BAZAAR日本版」「東京カレンダー」「FRaU」など人気雑誌のアートディレクション、デザインを手がける。現在はエディトリアルデザインで培った思考を活かし、老舗和菓子店やホテル、企業のブランディング、コンサルティングなど積極的に事業展開している。著書「THINK EDIT 編集思考」、(日経BP)TV出演「トップランナー」(NHK)。東京デザインプレックス研究所講師。

第1部:講義「日常をエディトリアルする。」

講義1

本日のプレックスプログラムは、当校でも教鞭をとっているアートディレクターの野口孝仁さんが登壇。野口さんは昨年の5月以来のプレックスプログラムです。まずは現在のお仕事の紹介から開始です。今回は野口さんの考えで、プロジェクターで写す形でなく、25人ごと二つの島を作っての授業になります。冒頭は野口さんの会社がデザインを手掛けている雑誌「Frau」「美術手帖」を題材にしてのレクチャーです。

講義2

編集者から上がってくるサムネイルを受講生に直接見せながら、各ページがデザイナーによってどのようにデザインされていくのかを説明していきます。実際に使用したデザインとボツになったデザインを比較しながら、クライアントがOKを出すデザインを行うコツをレクチャーしてもらいます。「モノ・こと=□=デザイン」という図式を作り、その□の中に何個も何個もキーワードを入れていき、そこからベストを導きだすという手法を野口さんはとっているようです。

講義3

自らをアーカイブ好きと公言するほど、様々なものを整理する野口さんの特性は日常の中からも見て取れます。クローゼットには必ず着る服しか置かない。同じ靴を定期的に買い換えている。朝同じコーヒーショップで店員さんと同じ会話をする。ルーティンをあえて行うことで、違和感や気づきに敏感になり、それが日々のデザイン業務やマネージメント業務にも生かされていると野口さんは言います。

講義4

今回のワークショップの趣旨の説明があります。「今回は個人のアーカイブを整理することで、新たな自分を発見することを目的にしていきます。課題として私の好きな12個をリスト化して来てもらいました。そのリストを分類し、【目次】を決めていき、最後にリスト全部を総称しての【タイトル】をつけるワークショップです」まずは見本として野口さんにも好きな12個をリスト化してもらい、それを分類しタイトルをつけていってもらいます。

第2部:ワークショップ「アーカイブデザイン~好きなものから私を再発見~」

ワークショップ1

野口さんの見本説明が終わると、次は各自行ってきた課題をもとに制作していきます。 30分の制作時間が終了し、あっという間に発表の時間です。 まずは6人1チームになり順番にプレゼンテーションしていきます。そのプレゼンテーションが終わると、全員で壁に各自の書類を貼り出していきます。その貼りだしたものを野口さんが順々に講評を行いながら進んでいきます。

ワークショップ2

受講生が制作したものも、多種多様でした。紹介していきます。 タイトルは「時間がない」。リストにあるのが、「魚のフィギュア•散歩•水辺の写真•電車での居眠り•長風呂etc」。これらのリストを挙げた時に感じたのが上記のタイトルだったそうです。またデザインを学んでいる受講生らしく、好きなもの12個を全て漢字に変えて表す受講生や用紙全体を「架空の世界」に置き換えて、12個を星座にして表す受講生などもいました。

ワークショップ3

またエディトリアルデザイナーでもある野口さんの授業だけあり、雑誌に置き換えて「マイ・マガジン」として制作している受講生が何人かいたのも印象的でした。中には好きなものに憧れの先輩を入れてしまう受講生もいて、ほんわかとした雰囲気に包まれていました。各自の予想以上の個性的な発表に野口さんも「面白い!」を連発しており、結局、半分ぐらいの受講生の講評を行う事となりました。

総評

最後に野口講師より「今回は日常、意識していないことをアーカイブする手法を学んでもらいました。デザイナーは大げさなデザインを行うのだけが仕事ではないし、日常の中で隠れていることや気がつかないものを再発見し、世に出してあげる。または多くの人に気づいてもらうようにする。そんな役割も担ってます。特にこれからキャリアチェンジしていこうとする皆さんには、整理の重要性を知ってもらいたいです。整理する中で見えてくるモノ・気づくコトは無数にあります。」