プレックスプログラム レポート

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「デザインによって革新できることは?」

2012年7月8日(日)

Nosigner代表

太刀川 英輔 氏

Eisuke Tachikawa

<PROFILE>

NOSIGNERは、問題を提起し、解決するために活動する日本発のデザインファームです。目に見えるものだけがデザインでしょうか。自然のすべての形には理由があり、その理由は状況と深く関わっています。我々は、状況とデザインの間にある目に見えない関係が最適化されたデザインこそが、最も美しく、最も機能するデザインだと考えています。NOSIGNERとは「見えないものをデザインする人」という意味の造語です。本質的な問い・強力な関係性・美しい造形の発見から、根源的体験を生み出すために、NOSIGNERはトップレベルの専門家が領域を横断して集う場として機能しています。状況のリサーチ、仮説立案、デザイン制作のプロセスを通して、日夜美しいデザインを作り出してきた結果、NOSIGNERの活動からは、現在までに多くのデザイン主導のイノベーションが生まれてきています。特にブランディング・アートディレクション・プロダクト開発・空間デザインの分野においては、数々のプロジェクトの成功によって30以上の国際的な賞を受賞し、また社会課題の解決を目指す自発的なデザイン活動は、国を超えて高く評価されています。

太刀川英輔氏

第1部:トークショー「デザインによって革新できることは?」

講義1

「デザインって何ですか?」という受講生への質問から講義が始まりました。まずはデザイン本来の意味、過去から現在への移り変わりなどのご説明がありました。 次は問題解決方法としてのデザインの在り方について、NOSIGNERが石巻にて手掛けたプロジェクト〈OCICA〉などを例に挙げ紹介していただきました。
〈わからないことがあったら対象を分解して考えてみる〉〈デザイン以外にも美しいものをたくさん見る〉などデザイン方法についての実践的なアドバイスには、受講生一同の制作意欲が刺激されます。

講義2

続いて、〈世の中の課題とデザインのつながりの強化〉〈個よりも集団に対するデザインの必要性〉など、社会を鋭く洞察した今後のデザインの方向性についてお話していただきます。
今回はワークショップが盛りだくさんということでタイムオーバーとなってしまいましたが、NOSIGNERの圧倒的なアイデア力、革新的な問題解決や独自の視点……デザインの本質をとらえた講師のお話は、グラフィックや空間のみならず各分野の受講生にとってとても重要なレクチャーとなりました。

第2部:ワークショップ「NOSIGNER流アイデア生成方法」

ワークショップ1

今回はNOSIGNER流のアイデア生成方法。箱作りの得意な製紙企業からの依頼をモデルとした新たな紙製品を考案します。
まずは「アイデア奥義その1:目に見えるモノを変換する」に基づき、目に見えるモノすべてを「これが紙や箱だったら」と想像しながら、ポストイットに書き込んでいきます。
次に「アイデア奥義その2:何かを足す」。〈椅子+紙〉〈窓+箱〉で何ができるか……といったように、書き込んだものと〈紙〉や〈箱〉を足して製品のアイデアを出していきます。

ワークショップ2

個別でのアイデア出しが終わると、5人1組のグループワークを30分行います。
持ち寄ったポストイットを壁に貼り付け、お互いのアイデアを見せ合いながら、「そんなものも書き込んだのか!」「これとこれを組み合わせると面白い!」など話し合い、グループ内でベスト3のアイデアを選びます。

発表1

グループの意見がまとまると全体へ向けての発表です。今回はグループから一人ずつ、代表者が前に出て発表することになりました。
〈紙+ゴミ=丸ごと捨てれるゴミ箱〉〈箱+ベット=スピーカー付きベット〉など、紙という素材の特性を活かしたアイデアから、〈紙+アクセサリー〉などありそうでなかったアイデア商品も登場しました。
「私のグループの第3位は……」の言葉に太刀川講師のドラムロールが入り、会場一同盛り上がります。

発表2

中には〈箱+便器=緊急時用トイレ〉〈紙+ブランケット=機内用使い捨てブランケット〉や、〈箱+カラオケ=移動式簡易組み立てカラオケボックス〉などユニークなアイデアも登場しました。
ただ組み合わせただけではなく、用途や特性など細かい設定まで考えられたアイデアもあり、短い時間ながら発想力豊かに取り組めた様子が伝わりました。

リフレクション

発表が終わるとグループごとに今回のプログラムの感想を話し合います。代表者がその内容を発表し、それに対して講師からコメントをいただく形でリフレクションが行われました。単なる質疑応答で終わらせないのが太刀川講師流だそうです。
〈個ではなくグループで行うことによって得られるもの〉といった発見に加え、〈今までの経験に囚われず新たなものを生み出す〉〈出したアイデアをどのようにブラッシュアップしていくか〉といった新たな課題もみつかりました。

太刀川講師からのコメント

「デザインに限らず、日常生活の中にあるいろんな美しいものを探してみてください。アートや幾何学、自然の中にも美しいものはたくさんあります。そして〈いいな〉と思ったものについては〈なぜいいのか〉について真剣に考えてみてください。そうすることで何がいいデザインなのか、自分の中の定規が見えてくると思います。」 
受講生一人一人が様々な気付きを得られたプログラムとなったようです。太刀川講師、ありがとうございました!

text by 編集&ライティングコース
高坂明日香

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