プレックスプログラム レポート

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「空気をデザインする ~part3~」

2015年6月17日(水)

ベルベッタ・デザイン代表/空間デザイナー

長谷川 喜美 氏

Kimi Hasegawa

<PROFILE>

2004年ベルベッタ・デザイン設立。【空気をデザインする】をテーマに、空間に関わる様々なクリエイションを手掛ける。近年の代表作として表参道イルミネーションをはじめるとする、大型商業施設のクリスマスデザイン・空間演出、日産デザインセンターやシャープBtoBショールーム等の企業コミュニケーションスペース、商業店舗の内装からCIデザイン、プロダクトデザイン、グラフィックデザイン等、その活躍の場は多岐にわたる。2013年の東京デザイナーズウィークでは、28年の歴史で初の女性クリエイターとして会場デザインを手掛ける。フランス国民美術協会(S.N.B.A.)主催サロン展2014年金賞/審査員賞金賞 DSA優秀賞ほか多数受賞 DSA正会員/日本空間デザイン二次審査員

長谷川 喜美 氏

第1部:トークショー「空気をデザインする ~part3~」

講義1

本日のプレックスプログラムは、空間デザイナーの長谷川喜美さんです。
今回で3回目の登壇となり、毎回実務でも非常に役立つワークショップを行ってくれる長谷川さん。「空気をデザインする」をデザインコアに、表参道のイルミネーションや、tokyo designers weekなどを手がけています。また、2013年、2014年の東京デザイナーズウィークでは、29年の歴史の中で、女性のデザイナーで初めて、2年連続で会場のショーデザインを手がけました。
本日は1~2回目の登壇時同様、長谷川さんのデザインコアである「空気をデザインする」をテーマにしたプレックスプログラムがスタート!
「今回は話したいことがいっぱいある」という長谷川さんの一言に、参加者の期待感も高まります。

講義2

まずは「空間デザイナーとは?」というお話しからです。長谷川さんが空間デザイナーを目指したきっかけは、学生の頃旅行で訪れた、南仏の小さい教会での経験だそうです。一見、何の変哲もない小さな教会に陽の光が差した時、床にステンドグラスの模様が映り、その場が大きく変容したとのこと。空間が持つパワーを目の当たりにした、その経験が、今の長谷川さんの原点になっています。
以来、長谷川さんが考える空間のデザインは、単に形をデザインするだけのものではなく、光・音・香り・人といった、有形、無形に関わらず、五感で伝わるデザインをしているそうです。条件をこなすことばかり気にしてしまって、視野が狭くなっていたことを、自省した方も多かったようです。

講義3

続いては最近の仕事について。昨年丸の内で開催された『Bright Cristmas 2014 』では、アナ雪の“アイスパレス”をイメージしたクリスマスツリーを光と音の演出を加えることによって、より五感に響く空間に仕上げたそうです。もちろん、そこに至るまでに、現地調査やイメージパース、模型、検証等、地味な作業の繰り返しも不可欠であることも、お話してくれました。
また、一番最近では、過去当校のプレックスプログラムに登壇していただいたスプツニ子!氏と一緒にGUCCIのギャラリーデザインを行ったそうです。「ブラックライトで光る空間、更に特殊なメガネをかけることで繭の色が変わる演出を試みてみました。」とのこと。その結果、今までのGUCCIのギャラリーでは、過去最高の来場者を記録したそうです。

講義4

前半の最後は、長谷川さんが空間デザイナーとして「大切だと思うこと」のお話しです。空間の顔づくり、妥協しない強さ、しなやかさ、多方向からの視点を持つ重要性などについて説明していきます。デザインの6つの流れでは、「知」現地調査など図面だけではわからない場の雰囲気や客層などの違いを肌感覚で知る。「創」スケジュールを綿密に組み、TODOに落とし込む(時間感覚を体で覚える)。「証」実寸検証しながら“本当に良いか?”を確かめる等、長谷川さんが培ってきたデザインプロセスを詳しく解説してくれました(他、当日は「伝」「証2」「魅」の3項目も説明していただきました)。「デザイナーは華やかで派手な印象があるかもしれないが、実は地味な作業の繰り返し。ただ、出来上がったもので多くの人に感動を与えられるのは、大きなやりがいになります。」と、やる気の出る一言もいただきました。

第2部:ワークショップ「ピースを合わせ、創造する」

ワークショップ1

後半のワークショップは「ピースを合わせ、創造する」です。
まずは白と黒の紙を合わせ、それを無作為に切り取り、偶発的にできた形を用意してから、詳しい内容(テーマ)を発表します。
テーマの内容は、「人を幸せにする物語」。紙を切り取って出来た形を主人公として、物語を展開していきます。瞬発力のある思考が必要なワークショップに頭を悩ませる方が多く、難易度の高さを感じさせます。 今回は作業に取り掛かる前に、長谷川さんに質問を投げかける参加者もたくさんいました。皆さんの創造力から、どんな物語が生まれるのか?結果が楽しみです。

ワークショップ2

お次は個人で創った作品を、グループで見せ合います。自分のストーリー以外の様々な物語を話し合い、きちんと周囲に伝わるか?反応を確かめていきます。各グループで参加者一人一人の物語が展開され、感心したり、笑い合ったりしています。難しい課題ではありますが、皆さんデザインを楽しみながら取り組んでいます。
グループでの発表が終わったあとは、正面の壁に各々の創った物語を掲示していきます。壁一面に、次々と白と黒の物語が貼り出されていきます。

ワークショップ3

一通り出揃ったところで、長谷川さんの講評が始まりました。
丸く切り取った形がベイマックスのように見えたので、白のWAPPY、黒のBAPPYというキャラクターのHAPPYな物語にしたという方の作品には、「かわいい!わかり易い!」と評価。また、黒ひげと白ひげの壮大な物語を考えた方には、「面白いけど、この一枚だけだとそこまで伝わらないかな。」とのこと。分かりやすさが大事!とアドバイスをいただきました。
手のような形をした、立体的な白と黒のツリーは、困っている人に握手やハグをしてくれるツリーの、ハートフルな物語。長谷川さんも「これは仮に説明がなくてもみんなに伝わる。この分かりやすさがいい。」と評価していました。

総評

今回のワークショップは「与えられたされた条件の中で、創造力を発揮するワークショップでした。」とのこと。「実際の案件では、予算、期間、人など、様々な制限があります。ただ、どんな条件下でも自分のデザインに言い訳をしないこと。」という、これからデザイナーとして実務に取り組んでいく上で、非常に大事なアドバイスをいただきました。
最後に長谷川さんから、「物事を創造することを、是非楽しんでください!」と激励もいただきました。長谷川さん、ありがとうございました!

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