PLEX PROGRAM REPORT

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「一歩踏み込むデザイン」

2019年2月22日(金)

minna

長谷川 哲士 氏

Satoshi Hasegawa

<PROFILE>

2009年に設立、2013年に株式会社ミンナとして法人化。角田真祐子と長谷川哲士を中心とする、みんなのためのデザインチーム。「みんなのために(for everyone)みんなのことを(borderless design)みんなでやっていきたい。(partnership)」 をコンセプトに掲げ、デザインをもっと身近なみんなのチカラにしたいと考えている。プロダクトやグラフィックなどの領域を横断し、想いの共有から可視化するまでの一連の流れをデザインと捉え、多分野で活動している。グッドデザイン賞、日本パッケージデザイン大賞金賞、SDA賞優秀賞、TOPAWARDS ASIAなど他受賞多数。

長谷川 哲士 氏

第1部:講義「一歩踏み込むデザイン」

講義1

今回のプレックスプログラムは約一年ぶりのご登壇となるデザインチームminna(ミンナ)の長谷川哲士さんをお迎えしてお送りします。minnaは会社の理念を「みんなのため(for everyone)」、「みんなのことを(borderless design)」、「みんなでやっていきたい(partnership)」としており、「デザインをみんなのチカラにしたい」という想いの元、デザインを行っています。今回はテーマを「一歩踏み込むデザイン」と題して、どうデザインでボーダレスに皆の役に立つかという点について詳しくお話ししていただきます。

講義2

長谷川さんは初めに「デザイナーって社会の役に立っていないのでは」と問題提起を投げかけます。ポスターデザインを発注することを例に上げ、その問題点を具体的に可視化しています。長谷川さんはデザインプロセスを病院に行くことに置き換えて考えることでその本質が見えてくるとし、今の社会には「町医者」の様なデザイナーが不足しており、気軽にデザインについて相談できない環境がクリエイティブパワーの発揮できない1つの理由であるとしています。そしてminnaの考えるデザインとは、「想いを共有し、最適な手段で魅力的に可視化し、伝えること」であると長谷川さんは語ります。

講義3

ここからは実際に手がけた商品を介したお話しです。商品開発からブランド開発、販路開拓まで踏み込むという事例を紹介していただきました。富山県五箇山の「FIVE」という和紙を手掛けた際に、売ることまで考えなければということを実感されたそうです。商品をつくった後の販売のことまで考えないとその企業の状況は全く好転しないことがわかり、ブランディングから販売まで一貫してディレクションすることの大切さを学生たちに説いていました。アウトプット前の依頼から状況が変わることが多々あるとのことで、自らこうした方が良いなど積極的にプロジェクトに関わっていくことが多いと語っています。

講義4

続いて「まるごと津和野プロジェクト」の紹介です。島根県津和野町は農業地帯と観光地帯が合併した地域で、お互い仲違いをしており、観光エリアで同じ町の野菜が流通しておらず食べることができないという状況があり、それを改善することを依頼されたそうです。最初は自治体の農林課からマルシェのデザインを依頼されますが、勝手に農林課がデザイナーに依頼して催し物をやるとさらに観光課との軋轢が生まれてしまうのではと長谷川さんは危惧して、「まるごと津和野」というワードをプロゼン資料に忍ばせます。長谷川さんの思惑通りにプレゼン資料が自治体の様々な課の人たちの目に通り、農林課が勝手に推し進めているのではなく自治体全体のプロジェクトだという認識を植え付けることに成功し、最初一回きりだったこのプロジェクトを継続開催へともっていき、地域の仲を取り持つことに成功したそうです。

第2部:ワークショップ「パッケージデザイン+α」

ワークショップ1

後半はワークショップに移ります。「一歩踏み込むワークショップ」と題して、今回の課題は「パッケージデザイン+α」です。津和野町の野菜を使ったドレッシングのパッケージデザインの依頼を受けている前提で、さらについでにこういうことやったらどうですかという「頼まれていないところ」まで提案するといった課題となります。「ドレッシング」という文脈としっかり絡んだ「+α」のサービスを提供するといった点が今回のポイントとなります。グループになって案を出し合い、最終的に代表者一人が発表します。

ワークショップ2

それではいくつかの案を抜粋して紹介していきます。まずは「子供を巻き込む」としてドレッシングに津和野の野菜の種を付け、空きボトルを使った栽培キットを提供するといった案になります。子供たちが野菜を育てる体験を通じて津和野の野菜を育てる喜びを感じてもらうという付加価値を考えていました。長谷川さんからは空きボトルを使うという点が面白い発想だという講評をいただきました。次は「ギフトニーズに応えるパッケージデザイン」として現在のボトルを小さくして、貰ったら嬉しいボックスに包装してアンテナショップで売るといった提案になります。長谷川さんからは今ミニポーションサイズのデザインもしており、王道でリアリティのある提案であるとの講評をいただきました。

ワークショップ3

まだまだ発表は続きます。続いては「ポトルをバトンに見立てる」という案です。津和野は森鴎外の出身地でもあり、医者であった彼とドレッシングを「健康」というキーワードで結びつけブランド化し、バトンに見立てたボトルをキャンペーン化してSNSで拡散を狙うという提案となります。長谷川さんからはボトル形状を生かしている点を評価していただきました。次の案は「縁結びドレッシング」です。地元農家の人たちでやる婚活にてドレッシングをカップリングの判断材料にするといった提案となります。長谷川さんからはキャッチーでいい案ですが津和野は年老いた既婚者が多いので、地域特性と合っていれば魅力的な案であるという講評をいただきました。

総評

では最後に長谷川さんからの総評です。「パッケージデザインの依頼を受けたときに僕らはこうやって余分なことまで考えたりするんですね。それは全部が全部提案するわけではないですが、提案は結構したりします。提案書にまとめるレベルじゃなくても、雑談レベルで感触をみて良さそうだったら、追加で提案したりします。デザイナーは依頼を依頼通りにやるのは当たり前で、その先にもっとこうしたらいいのではと考えることが必要だと思いますし、これからデザイナーが生き残る上でそこは必須だと思うので、より意識を及ばせるとその先が繋がっていくのではないかと思います。今後の参考になれば嬉しいです。」長谷川さんありがとうございました!

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