プレックスプログラム レポート

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「建築的思考から生み出す、モノ、空間、風景」

2014年12月17日(水)

トラフ建築設計事務所

鈴野 浩一 氏

Koichi Suzuno

<PROFILE>

株式会社トラフ建築設計事務所
鈴野浩一(すずの こういち)と禿真哉(かむろ しんや)により2004年に設立。建築の設計をはじめ、ショップのインテリアデザイン、展覧会の会場構成、プロダクトデザイン、空間インスタレーションやムービー制作への参加など多岐に渡り、建築的な思考をベースに取り組んでいる。主な作品に「テンプレート イン クラスカ」「NIKE1LOVE」「ブーリアン」「港北の住宅」「空気の器」など。「光の織機(Canon Milano Salone 2011)」は、会期中の最も優れた展示としてエリータデザインアワード最優秀賞に選ばれた。2011年「空気の器の本」、作品集「TORAFU ARCHITECTS 2004-2011 トラフ建築設計事務所のアイデアとプロセス」 (ともに美術出版社)、2012年絵本「トラフの小さな都市計画」 (平凡社)を刊行。

鈴野 浩一 氏

第1部:トークショー「建築的な思考法」

講義1

本日のプレックスプログラムは、 建築やインテリア、プロダクトなど、話題性がある多くの作品を世に送り出しているトラフ建築設計事務所の鈴野浩一さんに行っていただきます。今回で2回目の登壇となる鈴木さんは、本日のテーマを「建築的な思考法」と題し、今まで手がけた作品を通して、どういう方法から建築的な考えができるのかを解説してくださいました。空間やプロダクトに興味がある人ならば、一度は目にしたことがあるトラフ作品の裏話に、受講生の集中力が高まります。

講義2

老朽化したホテルをリノベーションして東京・目黒にオープンしたホテル「クラスカ」では、初めてインテリアをデザイン。「 物が入っていない建築写真を見ても違和感を感じていたので、物が入ってくるものをつくりたかった。でも、物を入れるとすぐゴチャゴチャしてしまうので、逆に物から建築を発想していった。物や人が入り、初めてその空間が生き生きしてくる」と、この部屋を利用する長期滞在者が、自分の部屋に帰ってきたような感覚になるデザインづくりの真髄をお話しいただきました。

講義3

ナイキの25周年を記念してつくられた「NIKE 1 LOVE」は、Air Force1というシューズを専門に扱う1年間限定のストア。ガラスの筒の中で円を描くように飾られた、真っ白い300足のシューズが、リリースされるニューモデルと順次入れ替わり、色を付けて行くという仕組み。「このプロジェクトでは回遊水族館を裏テーマに、一般の人が見ても興味を持てるようにストーリーを与えました」と、物とインテリア、そして建築をできるだけミックスして考える鈴野さんの思考法が感じられました。

講義4

2011年のミラノサローネ出展に向けつくられた「光の織機」は、光の形を無数の糸でトレースすることで、光を擬似的に実体化できるという斬新な作品。糸によるスクリーンは従来の平面的なものとは異なり、さまざまな表情を見せ新しい映像空間を生み出しました。「建築的な思考法とは、そこにあるものを引き出す(例えば太陽の光)こと。一つの窓として切り取ることでキレイな風景になる。何が問題か本質を考え、一つのアイディアで全ての問いが解けるようなものを考えます」

第2部:ワークショップ「自転車と建築と都市との新しい関係」

ワークショップ1

後半はワークショップです。本日のお題は「自転車と建築と都市との新しい関係」です。5-6人のグループに分かれ、事前に各自が考えてきたアイディアを30分程で話し合います。なかなか結びつけて考えることのなかったお題に、受講生は頭を悩ませながらも、身近にある社会問題から少しずつ紐解いていました。みんなのアイディアや意見をヒントに、一番良い案をグループで作成していきます。一人では難しく感じられたお題も、話し合いが進むにつれ明確になっていったようです。

ワークショップ2

それでは発表です。世界第3位の自転車保有率を踏まえ、自転車王国としての国家ブランディングを図った“Tokyo-Re-Cycle-Project 2050“という案では、自転車バスやタクシーを増やし自転車用のETCや緊急レーンを設けるなどして、もっと快適な町づくりを提案。また、屋上緑化にならった”自転車緑化”という案は、緑を運ぶ自転車を増やそうというもの。通常のコミュニティサイクルよりも安くレンタルでき、植木を運んだり、野菜を育て公園で青空菜園をしたりと環境や生活への配慮が感じられました。

ワークショップ3

そして多かったのが、自転車シェアリングという案。観光客にもわかりやすいような外観の駐輪場をつくり、アプリで空き情報を確認できるというものや、利用頻度の高いカフェやコンビニ、駅に自転車シェアリングスポットを設け、充電ができるようにするなどリアリティのある発表が続きました。また、最も台数が多いママチャリに注目し、単なる移動手段ではない家具にもなり得る“スマチャリ”を普及させるという個性的な案も出ました。

総評

最後に鈴野さんから一言。「ワークショップのお題はある電機メーカーと考えている、電動自転車と街と建築というテーマ からきています。将来の風景を変えるかもしれない、みなさんの着目点がとても面白かったです。これを機に 少しでも建築的思考法(物から考えて空間、都市へ)という点で物事を見てもらえたら嬉しいです」。鈴野さん、本日はありがとうございました!

Text by 東京デザインプレックス研究所 修了生 矢田貝恵

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