PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「愛+出会い=オギャー」

オギャー株式会社代表/クリエイティブディレクター/アートディレクター

佐藤 孝好 氏Takayoshi Sato

PROFILE
1979年千葉県生まれ。横浜育ち。渋谷在住。広告制作会社、総合広告代理店、クリエイティブエージェンシーを経て独立。大企業のマス広告から新規ブランド立ち上げ、超ローカル企業のブランド開発までミクロとマクロを縦横無尽に横断しながら社会をよりよくするための新しいコミュニケーションを模索中。広告やプロモーション企画、グラフィックデザイン、映像企画/ディレクション、CI、VI、空間デザイン、エディトリアルデザイン、パッケージデザイン、WEBデザインなどメディアにとらわれず活動中。

第1部:講義「愛+ 出会い= オギャー」

講義1

今回の講師は、プレックスプログラムに2回目の登壇となるオギャー(株)代表でアートディレクターの佐藤孝好さんです。前回お越しいただいた際のワークショップでは、学生が発表したアイデアが見事に実現しました。淡路島のプロモーション連続企画『おっタマげ!淡路島』の第五弾「タマ泣き美人コンテスト」として打ち出した企画は、各メディアに取り上げられ話題となりました。「良い具合にバズって本当によかったです」と、佐藤さんもここまで話題になると予想していなかったそう。今回もワークショップで新しいアイデアが出てくることを期待します。早速講義からスタートします。

講義2

佐藤さんはこれまで、いくつかの転職を経て独立し会社を立ち上げています。美大を卒業後、最初は広告制作会社にデザイナーとして就職しました。当時の仕事は、代理店のアートディレクターをアシストする仕事でした。しかし、自身で1から作ることができないことへのはがゆさもあり、佐藤さんは社会人1年目から精力的に広告賞への応募をしていました。「自分にとってすごく良い経験だった」と振り返るように、この時に1からディレクションをして作り上げたことが、後のクリエイティブワークにも影響を与えたようです。仕事の傍ら、個人的に頼まれたCDジャケットなどの制作物をとにかく作っていたと話します。「年賀状もいちいち頑張って作ってたし、なんか必死でしたね(笑)」

講義3

数年後、佐藤さんは広告代理店へ転職します。佐藤さんは転職する際、メディアに縛られずいろんな企画を自分で行いたいという思いがあったそうです。そのため代理店時代は、広告をCMからwebまで全て手がけていました。その後、箭内道彦氏との出会いを経て、クリエイティブエージェンシー「ロックンロール食堂」に在籍することになります。ロックンロール食堂は東日本大震災を機に解散、「すき」「あいたい」「ヤバい」という3社に事業を継承させました。佐藤さんが当時所属していたのは「ヤバい」で、電話を取るときや自社を名乗るときのエピソードに会場から思わず笑いが起きました。そのため独立後、自分で会社を立ち上げる時に「会社名すっごく悩みましたよ…」と佐藤さんは振り返ります。

講義4

また、共同で運営する地域の魅力を広告で伝える会社「ココホレジャパン」での多くの事例も紹介してくださいました。佐藤さんのお仕事でのエピソードは全て、クライアントさんが持つ思いや愛が詰まっているようなお話ばかりでした。佐藤さんが制作で常に大事にしてきたことは、クライアントに提案する時はどこか一部分だけというのではなく、もっと根元のところからクライアントの思いを汲んでものを作りたいという思いです。佐藤さんが仕事を通じて残していきたいこと、ものを作る上での理想の形について、「何か新しいものを生むには、ただそのものに愛情がある人がいるだけではなくて、様々な出会いが必要」と佐藤さんは話します。「愛+出会い=オギャー」ではないか、という名言に学生たちも大いに納得していました。

第2部:ワークショップ「プリン専門店の企画を考えてみよう」

ワークショップ1

佐藤さんからの講義を終え、早速ワークショップに移ります。前回2年前に行ったプレックスプログラムのように、良い作品が出ることを期待したいところです。学生たちも、「自分の出した企画を実現させたい!」と気合十分のようです。ワークショップの冒頭で、佐藤さんから少しアドバイスをいただきました。「考えるコツとしては、『中身』『ネーミング』『パッケージ』、これらどれか一つがめちゃくちゃ面白ければ、他の二つは自然と組み立てられます。なので、自分の得意なものから考えるといいと思います。」考える順番や方向性は自由、頭を柔らかくして考えることの大事さを話します。

ワークショップ2

今回のお題として挙げられたのは、沖縄県南城市にできるプリン専門店です。そこで打ち出す、大ヒットする商品アイデアを考えていきます。事前にこの課題は学生に伝えてあり、アイデアを用意してこのプレックスプログラムに臨んでいます。ただ、佐藤さんの講義を聞く前に考えた商品企画を、実際に講義を聞いた後で見直すと「手直ししたい!」と思わず口にする学生もいました。各グループに分かれて、自分が持ってきた企画を発表し、より良い企画にするために積極的に議論が行われていました。大きく振り切った案でも、面白ければ採用されるかもしれません。「まあ、ここで発表しても誰も怒らないので…笑」と佐藤さん。果たして、どんなアイデアが発表されるのでしょうか。

ワークショップ3

早速発表が始まりました。皆さん、プリンと何を掛け合わせるか色々と試行錯誤をしたようです。プリンと南城市の名産を掛け合わせたり、プリンとマヨネーズの合わせ技を行ったり、恋愛ネタに絡めてみたり、中には「プリン祭り」と称し、スペインのトマト祭り「トマティーナ」のようなプリンを投げ合うイベントを考えた人まで…。様々な案が発表される中、佐藤さんは発表に対しそれぞれ「もっとこうしたら良くなる」というアドバイスをしてくれます。出た企画案の面白さもさることながら、それに対する佐藤さんのコメント(ツッコミ?)もあり、会場は笑いが絶えません。

総評

学生からの発表が終わり、最後に佐藤さんから講評をいただきました。「今回も発表を聞いていて、すごく楽しかったです。発表のそれぞれをブラッシュアップすれば、すごく良い企画になるんじゃないかなと思います。」また、学生が多く集まったこの会場での、雰囲気を見て、佐藤さんはこんな思いを抱いたそうです。「ここにいる皆さんって、きっとみんな面白い人たちが集まっていると思います。大学や会社で出会う人とは違う、それぞれのバックグラウンドは違うけど、同じことを勉強している人たちで、今後の人生に活きてくる出会いだと思います。逆に僕がちょっと羨ましくなるくらいです。ここでの出会いを大事にしてほしいですね。」