PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「続続続続・LOVE ♥人間」

資生堂アートディレクター/アーティスト

成田 久 氏Hisashi Narita

PROFILE
1970年生まれ。アーティスト、資生堂宣伝制作部アートディレクター。資生堂の様々なブランドのアートディレクションを経て、現在はUNO、SHISEIDO、THE GINZA、インテグレートなどを担当、またフリーペーパー「ギンザドキドキ」の編集長でもある。NHK大河ドラマ「八重の桜」のポスタービジュアル、「ただいま、東北♥」キャンペーン企画も。雑誌「装苑」にて「舞台 JAM PLAY」を連載。展覧会も多数開催。東京デザインプレックス研究所プレックスプログラム登壇。

第1部:講義「続L O V E 人間」

講義1

当校プレックスプログラム登壇回数、ついに5回目となりました。資生堂アートディレクターの成田久さんに2017年新年一発目でお越しくださいました。「えー5回目なのー!!」とご本人も驚かれていましたが、成田さんの授業は毎回人気で、開催のたびに受講生で賑わいます。過去に参加した受講生が「また元気をもらいたい!」と再び参加するほど、成田さんには人を惹きつける魅力があります。オープニングにまず成田さんは経歴と数々の案件を紹介したムービーを上映しました。キャッチーなヴィジュアルに、一気に受講生も「Qちゃんworld」に引き込まれていきます。

講義2

ムービー上映後、早速講義が始まりました。まずは、なぜ資生堂に入ったかというエピソードを教えてくださいました。「学生の頃から自分で手を使って作るのも好きだけど、企画とかを考えるのも好きなんです。やれるものは全部考えるタイプですね。」制作だけではなく、トータルでディレクションをすることを最初から常に意識していた成田さん。「やるならもっと派手にメジャーになりたい!」と考えていた成田さんに、ちょうど資生堂の募集告知が舞い込んできました。その後、資生堂に入社し、数々の作品を生み出すこととなります。

講義3

たくさんの実績の中から、成田さんからいくつか事例を挙げてお話しくださいました。コスメブランドの「マジョリカマジョルカ」の企画「マジョリ画」については、現代のSNS時代に合ったプロモーションだったと話します。「SNS はとにかく伝わるのが早い!」と成田さんも重要性を感じており、「作品やプレゼンテーションをする場として使っています。SNS でのコミュニケーションは好きですよ。」とのこと。SNSを通じて仕事の依頼が来たり、インスタグラムで見つけたフォトグラファーを実際に起用したりなど、クリエイションを見せるメディアの箱として、デジタルへの移行が進んでいることを感じているようです。

講義4

メンズ商品やヘルスケア商品まで、幅広く仕事をされている成田さんですが、どの案件でも成田さんが意識しているのは、商品そのものはもちろん、サービス内容や起用する女優や男優の良いところをどれだけ引き出せるかということでした。また、そこが一番面白いところだそうです。「ターゲットが物によって違うので、ちゃんと正しくタッチしてちゃんと意味が広がることをやっていきたいです。」と成田さんは話します。同時に、デザインは人と出会わないとできないこと、人と出会って仕事をしていることの大切さも繰り返し受講生に話されていました。「ガツガツいってます!ガツガツ!!!」人との関わりを大切に、アグレッシブにいく姿勢はとにかく明るくハッピーな気持ちにさせてくれます。講義を終え、いよいよワークショップに移ります。

第2部:ワークショップ「ラブレターを書こう!」

ワークショップ1

ワークショップのお題は、恒例の「LOVE 人間」告白タイム!この告白タイムもついに5回目となりました。参加者全員と成田さんの前で、一緒にクリエイトをしたい憧れの人、大好きな人に向けて愛をもって告白してもらいます。多くの参加者の中から誰が発表するかは、成田さんの引いた番号で決まります。誰がいつ選ばれるかわからないというスリルもあり、みんな顔を見合わせながら恥ずかしそうに番号が呼ばれるのを待ちます。「緊張しなくて大丈夫ですよ!」と受講生にエールを送る成田さん。くじも用意され、早速愛の告白タイムがスタートです!

ワークショップ2

トップバッターは、アイドルのももいろクローバーZへの愛を語ってくれました。好きという気持ちに理由なんてない、ももクロの愛が身体に訴えかけている!と熱い思いを綴ったラブレターを読み上げています。何年か後に自分がももクロを支える仕事をしたいです、とラブレターを締めくくり、会場から拍手が沸き起こりました。成田さんも「ラブレターの文章がうまい!」と絶賛!一人目が終わり、次の発表へ。告白の相手はなんと、「ヒトヨタケ」というキノコ。キノコへの愛を静かに、熱く語っていました。キノコの写真を見ながら、静かな告白を聞くという、なかなか他では味わえない体験もこのワークショップだからできるといえるでしょう。

ワークショップ3

芸術家やシンガーソングライター、イラストレーターなど、様々なジャンルの人への告白が続きます。告白する人にとってはその人のことは当たり前のように知っていても、聞く人や他の人にとってはこの発表で初めて知る人も多く、「こうやっていろんな人を知ることができるのもいいよね!」「知らなかった~勉強になった~!」と成田さんも感心されていました。選ばれた瞬間は「うわっ!きた!」と思わず声を出してしまう受講生たち。ですが、成田さんは、どんなラブレターに対しても、温かく受け止めコメントしてくれるので、みんな勇気づけられたように発表していました。

総評

最後に1人の受講生から質問がありました。「成田さんのプレックスプログラムは『LOVE 人間』とありますが、どうしたら人のことをもっと好きになれますか?」この質問に対して成田さんは、子供の頃はあまり喋らない子だったが、学校の先生との出会いで変わったと話します。その先生の授業が楽しく、もっと一緒にいたいと、人を好きになるきっかけがあったと続けます。「今仕事をしていても、人に何かをお願いする時に怖い人よりも面白そうな人にお願いしたいと思うじゃない?相手をまず好きになって、コミュニケーションをたくさんとってからの方がうまくいくと思ってやっています。」デザイナーにとって、人との出会い、関わり方、人への愛がクリエイションを支えると成田さんは話しました。