PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「NEW RECYCLE」

PASS THE BATON

森住 理海 氏Masaumi Morizumi

PROFILE
1973年生まれ 同志社大学卒業後、96年株式会社ロック・フィールドへ入社。99年オフィスミール事業立ち上げに携わる。07年スマイルズ入社、08年SoupStockTokyo*JAL 機内食事業立ち上げ。
08年より(有)ジラフより株式を全取得し、事業部長として事業再生に携わる
09年よりPASS THE BATON事業立ち上げ、現事業部長。
14年よりスマイルズ生活価値研究所員も兼務する
グロービスオリジナルMBAプログラム2008年卒業

第1部:トークショー「NEW RECYCLE」

講義1

本日のプレックスプログラムは、株式会社スマイルズより「PASS THE BATON」事業部長である、森住理海さんにご登壇頂きました。森住さんは、Soup Stock Tokyo*JALとして、JALとのコラボレーションによる機内食事業に携わっており、「PASS THE BATON」にも立ち上げから関わり創り上げてきた、最もこの事業に詳しい方です。「PASS THE BATON」のコンセプトである「NEW RECYCLE」の形、BATONの意味、そして世の中の体温を上げる事業とは?その答えを知るべく、多くの受講生が参加しました。

講義2

「世の中の体温を上げる事業を目指し、生活自身に価値を見出し、少しでも広げて満たしていくことのお手伝いがしたい。PASS THE BATONは、物や消費者を大切にしたいという思いから創造され、まず名前が生まれました。」パスを繋いでいく、という名の持つ温かみを感じました。既存のリサイクルショップの概念を壊し、スタイリッシュで面白い、新しいリサイクルショップとして誕生。出品者には顔出しのプロフィールを作成してもらうことで、買い手に、より身近に感じてもらうことや安心・安全な買い物を楽しんで頂くことへのこだわりが垣間見えます。

講義3

「不安要素としては、本当にいいリサイクル品が入ってくるのか、ということ。お客様がきちんと“考えた”もの、商品でないと意味がないし、ただのエコ商品の集まりになってしまっては成り立たない。普通のリサイクルショップとの差別化がまるで出来なくなってしまいます。」“PASS THE BATON”には、【REMAKE・RETHINK・RELIGHT・RECYCLE】の4つの切り口がありますが、コアとなるのはリサイクル品。買い手から出品者に手紙を書くことに力を入れていて、出品者がまた何か、自身の大切にしていたものを商品として出品したい、と思ってもらえるようにすること。「手間のかかることを一生懸命行う」ことの大切さを目の当たりにしました。

講義4

「“PASS THE BATON”に一番大切なことはストーリーを付けて、自分たちのエッセンスを加えること。要は付加価値を付けることです。」今すでに取り組んでいることとしては、建造物への挑戦として、京都グラフィーといった写真展を行い、中をイノベーションしている途中経過を一般公開している、とのこと。今しか見ることが出来ないという付加価値を提供しています。伝統工芸にも目を向けており、B品探しを楽しみながら行っているそうです。B品をリメイクし、更なる付加価値を付けて売っていく。「PASS THE BATON」には常にブレない軸、ストーリーが確立されていることを感じました。これで前半の講義が終了です。

第2部:ワークショップ「PASS THE BATONの3年後」

ワークショップ1

後半はワークショップです。本日のテーマは「PASS THE BATONの3年後について考える。」例えば、どことコラボレーションを行ったら面白くなるか?「PASS THE BATON」のコンセプトを軸に、衣・食・住・WEBなどの事業領域で新たな価値を生み出すための策は?など。前もって個々に考えてきたアイディアを元に、真剣に話し合います。5人一組のグループになり、最終的に決定したアイディアをそれぞれのチームの代表者が発表します。

ワークショップ2

少ない限られた時間の中で、受講生たちは精一杯試行錯誤して案を考えます。「このアイディアに、ペットショップをつくって、旅でしか味わえない出会いを繋ぐのはどうだろう」「デットストックもいいよね」「自分の大事な物をデザイナーに託して、更に良い物になって返ってくるのも、継続性のあるパス回しだと思う」などと、それぞれのチームが楽しそうにディスカッションする姿や、声が聞こえてきます。3年後というキーパーソンを常に念頭に置き、話し合いは続きます。

ワークショップ3

「リメイクショップ教室を開校する」「車でPASS THE BATONを」「遺産整理業者とPTBのコラボレーション」「ウェディングドレスでPASS THE BATONを。~PASS THE LOVE~」などそれぞれのチームから、ユーモラス溢れるアイディアが多く挙げられました。森住さんは「車とウェディングドレスについては、実際にやりたいねってずっと言っているのですよ。車に関しては、社長の遠山が昔から言っています。ウェディングドレスはリース問題が課題ではありますが、2つともやはりやりたい、挑戦したい分野ではありますね。どの班もアイディアがとても面白くていいですね。」と笑って仰っていました。

総評

短い時間でしたが、最後に森住さんからお言葉を頂きました。「こうやって日々何かのテーマに向かって皆で考えて形にする、ということをどんどん実践して欲しいですね。企画内容が面白い人っていうのは、手を動かして少しでも形にしようと思って実践する人なので。」「僕らはやはり、捨てる物って勿体ないなっていう思いが強くて。勿体ないものを良くすることで皆心も温まるし、捨てる物からクリエイティブを生み出すことや発想力で世の中が良くなることを楽しんでいます。デザインもコミュニケーションのツールの1つです。これからも“勿体ない”モノをしっかりニーズ化していきたいと考えています。」本日は貴重なお時間をありがとうございました。
Text by 雑誌編集&ライティングコース
岸 茉里奈