PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「クリエイティブ・ロールプレイング」

株式会社ベンチ 代表取締役

小島 幸代 氏Sachiyo Kojima

その他担当講師
&CO代表 横石 崇 氏
PROFILE
美大でデザインを学んだ後、米国法人リクルーティングエージェンシーにてクリエイティブに特化した採用を8年経験。クリエイティブフィールドで戦うプレイヤーをベンチサイドから様々な角度でサポートしたいという思いから、2012年に株式会社ベンチを設立。キャリアコーチングは国内外1,000名以上、雇用契約は400件以上にのぼる。近年は企業のクリエイター採用におけるブランディング、手法のコンサルティングに従事している。

第1部:トークショー「クリエイティブ業界におけるキャリア」

講義1

本日のプレックス講師は、BAPAやWIRED、TWDW等に携わっている、株式会社ベンチの小島さんと横石さんに登壇していただきました。横石さんは今回2回目の登壇となります。「これから10年後には、今、特に名前のない職業を持っている人が活躍しているだろう。」と言われている現在。次世代クリエイターとして通用する人材とはどういう人か?という、興味深いテーマ。最初に隣の方と簡単なアイスブレイクを行い、緊張をほぐしてから、いよいよスタートです。

講義2

ライフハッカーの「Ventures High 2015」にも選ばれた、通称“クリエイティブ業界の忍者”と言われるベンチの活動について、まずは横石さんよりお話いただきます。その中で、アップルやユニクロ、グーグルなど、世界的に有名な企業の共通点について?という質問がありました。実は前述の企業は、トップの役職にCDO(チーフ・デザイン・オフィサー)とCXO(チーフ・エクスペリエンス・オフィサー)があるそうです。今ビジネスとデザイン・クリエイティブがどんどん近づいている、という横石さんの説明に、参加者も真剣に聞き入っています。

講義3

次は「X+Y理論」について。元々はお笑いの業界で広がった理論だそうですが、キャリア形成にも役に立つ、ということです。X軸=自分の能力、Y軸=外部環境を、両方分析しておく必要があるとのこと。特にY軸は、1)場所:デザイナーの人口比が高い場所ほど、日々イノベーションが生まれている(アメリカならフロリダ、日本なら東京など)。個性的な人たちが集う場所に、積極的に飛び込んで、自分自身がイノベーションの種になることが重要、と説明していきます。

講義4

更にY軸にはもう一つ、2)時代背景を知ること:現代の広告は、従来の「Art&Copy」から、インターネットの普及に伴い「Art&Code」へ変化していることを、当時のフォルクスワーゲンの広告と、世界三大広告賞である、カンヌ広告賞でグランプリを受賞したホンダの広告を例に説明します。また、レイ・イナモトさんの「広告の未来は広告ではない。未来はギーク(コード)とフリーク(アート)の手のなかにある」という持論も例としてお話しいただき、デザインのこれからについて、あらためて考えさせられた方も多かった様子。
「働き方や組織も多様化している時代なので、是非意識して臨んでくださいと。」とアドバイスもいただきました。

第2部:ワークショップ「次世代クリエイターのためのワークデザイン講座」

ワークショップ1

今回のワークショップは「次世代クリエイターのためのワークデザイン」という内容です。講師も横石さんから小島さんにバトンタッチします。予め配られた用紙に、4つの質問を聞いてから、それぞれ回答を記入していきます。
まずQ1は「今は転機ですか?」という質問。人生には何段階かのキャリアステージがあり、今何かを変えなくてはいけないと思っているか、あるいはそうでないか、をYESかNOで答えていきます。「特に30歳手前に思うことが多くなる内容」だそうです。続いてQ2は「今、どの状態か?」終焉、中立、開始の中から選んでもらいます。特に中立の状態が一番注意、というコメントに焦る参加者もちらほら。

ワークショップ2

お次はQ3の質問ですが、その前に「Think about your role(役割の診断)」を行います。お二人が用意した様々なスキルが書かれたシールの中から、「できること」「やりたいこと」「苦手なこと」をピックアップして、それぞれ専用の用紙に貼り分けていきます。
これを「テクニカル」「ヒューマン」「コンセプチュアル」にそれぞれ分類し、自身の仕事内容や志向性を再認識します。 その上で、Q3「自分が活動しいている中で、できること・やりたいこと・苦手なことの割合を確認し、なぜそうなったのか?」を考えます。

ワークショップ3

最後のQ4は「どういう自分でありたいか?」
今までの質問の中で見てきた、自身の仕事の内容と志向性を踏まえて、グループメンバー同士でシートを見せ合いながら、総合的な分析を行います。その後小島さんより、“現在を見つめ”、“未来を思考し”、“環境(組織や仲間を見つける)”ことの重要性をお話しいただきました。
多くの方が、自分自身のキャリアを再確認するとともに、新たな自身の強みを発見でき、非常に有意義なワークショップになりました。

総評

最後に、お二人からコメントをいただきました。
横石さん「未来が分からない状況で必要なのは、地図ではなくコンパス。自分の直感を信じて、是非これからもチャレンジを続けてください。夢や希望を持つことはクリエイティブなことだから、同じ夢を持つ仲間のところへ飛び込んでください。」
小島さん「個性や主観や主張を大事にしてください。例えば自分が他人とは違った、考えを持つ人(変な人)なのかもと思っても、それも立派な個性です。私たちも変人が好きで始めた仕事なので、また私たちが行うイベントにも来てください。」
小島さん、横石さん、ありがとうございました!