PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「共感覚とデザインマーケティング」

クリエイティブディレクター

石井 大介 氏Daisuke Ishii

PROFILE
大学在籍中にアパレルブランドの立ち上げに参加。卒業後渡米し、 Parsons School of Designに於いてデザインを学ぶ。ニューヨークの制作会社で映像・グラフィックの制作に携わり、帰国後、デザイン関連の教育機関にて開発業務に従事。その後独立し、ファッション、インテリア、ICT関連の企業などでデザインコンサルティングに携わっている。現職は京都芸術大学の専任講師。元東京デザインプレックス研究所デザインストラテジー専攻講師。

第1部:トークショー「デザインエッセンス10」

講義1

企業や公共団体へのデザインコンサルタントとして、活躍中の石井大介さんを講師にお迎えしてプレックスプログラムをはじめていきます。まずは現在の講師のバックボーンになっている「エッセンシャル10」のご説明からです。①ビーチボーイズ(泳げないメンバーが大半の元祖サーフバンド) ②ノーム・チョムスキー (講師が留学した「アメリカ」批判で有名な哲学者) ③2NE1(喜怒哀楽の「怒」と「哀」を表す稀有な韓国のガールズグループ)など講師らしく多様なエッセンスが窺えます。

講義2

続いては④寅さん(講師が映像を創るきっかけになった映画) ⑤ヴィム・ヴェンダース(大学時代に影響を受けまくった映画監督)⑥ジェイムズ・エルロイ(講師曰く“デザイン戦略型作家”)⑦松任谷由美(生で歌声を聞いて号泣)⑧the blue herb ( HIPHOPは破壊と再構築のシンボル) ⑨エンジニアガーメンツ(過去から紡ぐ大好きなアパレルブランド) ⑩チャールズ・イームズ(今あるモノを自己のフィルターに通して如何に表現するか?を思い起こさせてくれるデザイナー)。石井講師のデザインエッセンスが集約された前半戦です。

講義3

次は少し趣向を変えて、現在講師が携わっている「長崎県の図書館REDESIGN PROJECT」に関してです。 授業の中でおこなってきたように、講師はファシリテーターの一人として、現地の方たちや関連企業の方たちと共に「未来の図書館のあるべき姿を実現するためのお手伝いを行っています。講師がこのプロジェクトを通じて改めて感じたことはデザインとは「かっこいいモノや新しいモノを作る」という側面だけではなく、「デザインは教育に不可欠」ということです。

第2部:ワークショップ「共感覚トレーニング」

ワークショップ1

本日のワークショップの前に、講師から右脳を使っての共感覚、左脳を使っての社会構成主義の簡単な説明がありました。今回、共感覚をテーマにしたのは、講師が授業やコンサルティングを行う際に、右脳を使う思考法が実は多くの人たちが苦手としていて、特にデザイナーでない人たちにその傾向が多いことから、もう一度原点に返る意味も込めて行うことにしました。

ワークショップ2

「インスピレーションやひらめきと言った直感的に感じたことを素直に出すことが、デザインに携わる上においてはとても重要なんです」と前置きの後、最初のお題は「クラシック音楽を聴いて感じたものを描く」です。五感の中の聴覚を使用して、“何か”を描いた後にグループになって各自プレゼンテーションを行います。この聴覚からの共感覚は、スムーズに入っている受講生も多く、プレゼンも盛り上がります。 

ワークショップ3

続いてのお題は「映像を見ての共感覚トレーニング」です。同じように映像を見て、今度は口頭でのプレゼンテーションです。こちらでは聴覚とは打って変わって苦戦の様子。 プレゼンテーションも映像の流れを説明してしまう受講生が大半で、自分が感じたことが殆ど出てこない人もおり、共感覚の難しさを実感させられます。分析してしまう事自体は悪くないけど、感情や感覚自体はその人しかない個性、だからまずは自分の個性を大事にしてほしい。と講師は言われます。

ワークショップ4

最後は味覚からの共感覚。講師から袋に入った謎の食べ物が配られます。恐る恐る匂いを嗅ぐ受講生やおもむろに口に放り込む受講生、様々です。食べてから後に講師から食べ物の種明かしです。食べ物は「パタゴニアで作っているサーモンジャーキー」でした。やはりここでも「自分にとっておいしいのか?おいしくないのか?」の前に、「これは何でできているんだ?」から入ってしまう受講生が大半です。

講評

締めはこのジャーキーを創っているパタゴニアの社長のメッセージと、同じアパレルで講師曰く対極にいるユニクロの柳井社長のインタビューを観て、各自が「感じる」といった内容で締めくくられました。 最後に講師から「共感覚を今回テーマにしたのは様々な事象に対して、どう感じるか?何を感じるか?をフィルターを通さずに素直に感じることの大切さを理解してもらいたかったからなんです。少しでも理解してもらえると嬉しいです」