PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「自然が生み出す構成」

メディアクリエイター、アーティスト

市川 健治 氏Kenji Ichikawa

その他担当講師
イラストレーター/グラフィックデザイナー サダヒロ カズノリ 氏
PROFILE
メディアクリエイター、アーティスト。 1990年に考案した「ピクセル・モンタージュ(Pixel Montage)」という技法を用いた作品のスタイルで、日本グラフィック展、日本ビジュアル・アート展、APA日本写真ビエンナーレ、プリンツ21グランプリ展、現代日本美術展、岡本太郎現代芸術賞等、数々のコンペティションで受賞歴を持つ。 東京・横浜・名古屋・上海・ニューヨーク・ミラノ・ボローニャ・アムステルダム・ゲント・ブエノスアイレス等、国内外を問わずアートフェアや展覧会に出品。 雑誌・書籍・DVDブックレット・TV・iPhone/ iPad用アプリ等、様々なメディアやイベントでも作品を展開。 「ウタマロケンジ」としても活動中。東京デザインプレックス研究所講師。

第1部:トークショー「創作をもっと楽しくする要素とは?」

講義1

本日は20年来の仲というイラストレーターのサダヒロカズノリ講師と当校でも人気の市川健治講師のお二人に講義をしていただきます。 まずはスライドを使ってこれまでサダヒロ講師が携わった作品を紹介していただきます。美術を勉強するために山口県から上京したサダヒロ講師。卒業後はずっとフリーで活動をされています。

講義2

〈売れるかどうか〉よりも「断るなんて……」とイラストレーションを中心に、抽象的なデザインを用いたりしてさまざまなジャンルの案件を引き受けています。「(仕事をはじめた頃は)Macではなく、ずっと手描きで作業していた」と話し、修正ができない難しさと面白さの狭間にいて「虫なんて苦手だったのに仕事がきっかけで知識が増えていった」とただデザインを描くだけではない面白さを柔らかい笑顔と言葉で教えてくれました。

講義3

「ゴレンジャー」など幼い頃見ていたものが今の作品作りに影響している。自由に描かれているように見えて、実は設計図を必ず設けるというサダヒロ講師。「好きで絵を描いていたから設計図と完成品の2つあることに違和感があったけど、人工物にはすべて設計図があり衝撃的だった」と話し、設計図も展覧会で“作品”として展示もされているようです。

講義4

続いて市川先生。サッカー日本代表の写真を使い坂本竜馬を描いたり、関係する素材でコラージュをし1つの大きな作品を作り出す作品作りをされています。企業や女優さんへのプレゼント、人気漫画を使った作品を紹介してくれました。「(雑誌を切って貼るという)手作業は大変でしょう」というサダヒロ講師の問いに「こういうのが大好きなんです」と笑顔で応え、市川先生のこだわりが垣間見えました。

第2部:ワークショップ「自然が生みだす構成」

ワークショップ1

さて、いよいよワークショップ。今回は〈バラまき手法〉を実践します。1枚の紙の上に種を上から蒔きます。種と同じ位置に予め持ってきた雑誌の切り抜きを貼っていきます。最後に自分の好きな構図を決め、完成です。「〈自由にものを作ったらどうなるか〉というのを体験してほしい」という思いで今回のワークショップとなりました。

ワークショップ2

いつもはテーマを決めて考えるワークショップが多い中、偶発的に出来上がるデザインが俄然、面白くなってきたようです。 今回は何も考えずにとにかく手を動かしていくのでみんな黙々と取り組んでいます。アートの季節という事もあり、今回は皆、自然派のアーティスト気分です。自分でも完成形が見えない面白さを堪能してます。

ワークショップ3

今回はテーマは後付け。完成してからネーミングをして行きます。この段階になってようやくコンセプトらしきものに触れるという逆説なワークショップです。 受講生の様子は少年少女時代、純粋に作ることや、塗り絵をすることなど、ひたすら作るのが楽しかったころに戻っているかのようです。 それを見守るお二人の講師もとても嬉しそうです。

メッセージ

作品も完成したところで、「いいな」と思うものに投票。「優劣はつけられない。自然に任せているうちは安心・安全。最後に手を加えればデザインになる」とサダヒロ講師。 市川先生からは「アクシデントデザインのようなものも何に作用するかわからない。目的通りに歩いていかないことは、自分を深める」と市川先生からメッセージをいただきました。 とっても新鮮なプログラムありがとうございました!