PROFESSIONAL MESSAGEプロフェッショナルメッセージ

遠山 正道Masamichi Toyama

PROFILE
スマイルズ代表。三菱商事在籍時、1999年「Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)」第1号店をお台場ヴィーナスフォートに開店。2000年、三菱商事初の社内ベンチャー「スマイルズ」を設立。ネクタイの専門ブランド「giraffe(ジラフ)」や新コンセプトのリサイクルショップ「PASS THE BATON」、ファッションブランド「my panda」も手がける。一方でニューヨーク、赤坂、青山、代官山などで個展を開催するなど、アーティストとしても活躍。東京デザインプレックス研究所プレックスプログラム登壇。

大切なのは「やりたくて、やるべきで、やれること」。

現在はモノがたくさんありすぎて、「求めている人はいるの?」という疑問を抱かずにはいられません。新しく生み出していくのもいいけど、今まで世に出たモノの中にも良品があるのではないか、使われてきたものこそ人の価値やセンスがこもっているのではないか、と考えて立ち上げたのが「PASS THE BATON」。丸の内とか表参道に“リサイクルショップ”という意外性が面白いでしょう。

心に留めているのは、「リサイクルだから、傷モノだからこの程度でいい」と思わないこと。例えば、フォルムの綺麗なデンマークブランドのグラスをリメイクしたり、骨董のそば猪口の中にお菓子を入れて粋に麻の紐を結んだり。そうやって、リサイクル品にデザイン・編集を加えたりして、プロパーよりもさらに素敵なモノ、まるで魔法がかかったような状態のモノがたくさんある店にしたかったんです。なにせ一点モノですから、一つひとつ管理して手を加えていく業務が膨大。ビジネスとしてあまり効率が良いとは正直いえません。

ただし私は、それでもいいと考えています。世の中の情勢も厳しい昨今、簡単にうまくいくはずがないと思ったほうが真っ当なんです。何より、私がビジネスをするときに大切にしているのは、それが「やりたくて、やるべきで、やれること」であるかどうか。このことを私は“美意識”と呼んでいます。自分の個人的な想いが「やりたくて」、世の中の流れの中で必要とされることが「やるべきで」、それなりの技術やネットワークがあるから「やれること」。この3つのバランスが取れていればいい。たとえ踏ん張らなきゃいけなくても、好きで取り組みたいことがあったり、実現したら素敵!と思えることが大切なんです。

私が新卒で社会に出た頃の価値観は「大企業至上主義」一辺倒でしたが、今は個人事業でもリスペクトされる幅広い価値観がある。さらにWebなど、個人と社会が関わり合う手段が圧倒的に増えました。ちょっとした自分の切り口と好奇心を持って行動すれば、今までにない職業だって生み出せるわけです。選択肢がたくさんある現実をもっと意識して、「やりたくて、やるべきで、やれること」を、ぜひ追いかけてみてください。