PROFESSIONAL MESSAGEプロフェッショナルメッセージ

成田 久Hisashi Narita

PROFILE
1970年生まれ。アーティスト、資生堂宣伝制作部アートディレクター。資生堂の様々なブランドのアートディレクションを経て、現在はUNO、SHISEIDO、THE GINZA、インテグレートなどを担当、またフリーペーパー「ギンザドキドキ」の編集長でもある。NHK大河ドラマ「八重の桜」のポスタービジュアル、「ただいま、東北♥」キャンペーン企画も。雑誌「装苑」にて「舞台 JAM PLAY」を連載。展覧会も多数開催。東京デザインプレックス研究所プレックスプログラム登壇。

みんなに愛されるHappyなものをつくりたい♥

両親に美術館に連れて行ってもらったり、お絵描き教室に通っていた小さい頃。何か創ったりすることには夢中になる子供でした。勿論その頃は、将来アートディレクターになってる、なんて考えてもみませんでしたけど(笑)。

そんな自分のことをわかってか、「美術を学んでみては」という両親の勧めもあって、美大に入りテキスタイルデザインを専攻しました。4浪して挫折感も味わったけど、入学後はその劣等感を力に変えられたので、今思うと良い挫折だったと思います。それを乗り越えて、大学ではとにかく見られたい一心で多くのコンペに作品を出したり、個展をやったり、毎日忙しく過ごしましたね。その後は東京藝術大学の大学院に入りましたが、テキスタイルデザインやペインティング、グラフィックと作品を創っていく中で、敢えて絞り込まないスタイルでやっていこうと決めたのもこの頃でした。

資生堂で働こうと思ったのは、幼い頃見ていた歌番組のような華やかなイメージがあったから。「TVに出てくるスターと仕事がしたい!」「キラキラした世界で自分も輝きたい!」というミーハーな気持ちと、ブランドにイメージキャラクターを創って、もっと素敵に見せるという仕事内容がマッチしていると思ったんです。入社後、意外だったことは、大手の制作部にいるからといって黙ってても、仕事はこないということ。多くの人がときめくものを創るには、まず内部でヒットしていくことが大事ですから、積極的にアピールしました。だから、企画もフィニッシュも人一倍こだわります。ヴィジュアルづくりには、スタイリストやヘアメイクの範疇にも口出ししたりして。それも全て、見てくれる人をHappyにさせるため。そして、何よりその商品が“売れる”と私もHappyに。だってそれは、その商品が愛されているということですから。

これからデザイン業界を目指す方は、仕事をもらえるチャンスがあるなら、選り好みせずどんどんやって欲しいと思います。好きでないことも、頑張れば違うドアが開いたりするものです。キャリアを積めば積むほど面白くなる仕事だから、「今こういう人がキテる!」「これが面白い!」みたいな興味をたくさん持って、諦めずにやってみてください。