PROFESSIONAL MESSAGEプロフェッショナルメッセージ

下東 史明Fumiaki Shimohigashi

PROFILE
1981年生。2004年東京大学法学部卒業後、同年(株)博報堂入社。現在、第3クリエイティブ局。主な仕事に、MINTIA「俺は持ってる」、イエローハットTVCM、日経電子版「365日分の差は大きい」、2ndSTREET「セカストする?」、花王「クイックルで良くない?」、PloomTECH、1本満足バー、MONOKABU、VIEWカード、鬼速など。著書に『あたまの地図帳』(朝日出版社)。TCC審査委員長賞・新人賞・ファイナリスト、新聞広告朝日賞、交通広告グランプリ、日経広告賞、ヤングカンヌ日本代表、日経広告賞など受賞多数。東京デザインプレックス研究所プレックスプログラム登壇。IG : f_shimohigashi_offical

「何かのマニアになる」ことは、強力な武器になる。

いつも周囲に流されてきた気がします。勉強もスポーツも、受け身の姿勢でやっていたから、逆にそこそこできたのかもしれないです。広告業界に入ったのも、大学の先輩に「就職氷河期だからインターンに参加したほうがいい」とアドバイスされ、たまたまインターンを募集していた博報堂に入り、そのまま内定を受けました。

昔から冷めていて、夢や希望に向かって邁進するというタイプではないんですよね。でも、流されている自分が嫌だと感じたことはありません。仕事においても自己表現するアーティストではないので、クライアントが満足してくれることが一番。スピードがあればなお良し、という考えです。“速い”ということはクライアントに対する最高のサービスだと思います。広告業界では、これでもかと長い時間考えてアウトプットする風潮がありますけど、自分はそれには否定的ですね。短時間で、集中して仕事を進めたい性分なんです。

コピーライティングというと、何か上手いこと、面白いことを言えば良いと誤解されがちですが、そうではありません。コピーを見聞きした人に“得”を感じてもらうことが大事です。加えて、“企業が訴えたいこと”と“消費者が知りたいこと”の間には多少のズレが生じがちなので、その2つが重なる部分を見つけていく気持ちで取り組んでいます。

駆け出しの時に意識していたのは、広告関連以外のコンテンツに触れることですね。例えば雑誌でいうと『広告批評』や『宣伝会議』ではなくて、『ユリイカ』や『論座』を読む、みたいなニュアンスです。あえて縁遠いものを漁らないと、知らず知らずのうちに似たモノが生まれてしまうリスクがあるからです。もともと活字を読むことは昔から好きでした。でも「仕事=趣味」とは考えていません。「仕事と一切関係ないもの」を趣味と呼ぶべきという定義づけです。それでも、趣味から学ぶことは、結構ある。今、熱中しているのは、野球、ファッション、ハロー!プロジェクト。実際、アイドルの楽曲を手掛けるプロデューサーやミュージシャンのワーディングを探ることはとても勉強になっていて、仕事にもプラスの影響が出ていると感じますね。「何かハマっていることがある」「何かのマニアになる」ということは広告に限らず、どの業界でも通用する大事なことだと思っています。好きなことがあれば、自分なりに深掘りしてみるといいですよ。