テーマ:「デザインとデータの幸福な関係」
セイタロウデザイン代表/アートディレクター
山﨑 晴太郎 氏Seitaro Yamazaki
- PROFILE
- 横浜出身。立教大学卒。京都芸術大学大学院芸術修士。ブランディングを中心に、グラフィック、WEB・空間・プロダクトなどのアートディレクションを手がける。「社会はデザインで変えることができる」という信念のもと、各省庁や企業と連携し、様々な社会問題をデザインの力で解決している。グッドデザイン賞金賞や日経広告賞 最優秀賞など、国内外の受賞歴多数。各デザインコンペ審査委員や省庁有識者委員を歴任。TBS「情報7days ニュースキャスター」、日本テレビ「真相報道 バンキシャ!」「シューイチ」にコメンテーターとして出演。主なプロジェクトに、東京2020 オリンピック・パラリンピック表彰式、旧奈良監獄利活用基本構想、JR西日本、Starbucks Coffee Japan、広瀬香美、代官山ASOなど。著書に『余白思考』(日経BP、2024年)。

第1部:講義「デザインとデータの幸福な関係」
講義1
本日のプログラムは、株式会社セイタロウデザイン代表の山﨑晴太郎さんをお迎えします。セイタロウデザインは現在、国内外にわたり6社のグループ会社を展開しており、山﨑さんはブランディング、グラフィック、ウェブ、プロダクト、現代アート、さらに文化人としてのTV番組のコメンテーターなど、多方面で活躍されています。

講義2
最初にお話しいただいたのは、セイタロウデザイン設立時に掲げられたフィロソフィーについてです。「設立当初から変わらず持っているフィロソフィーが、“人の気持ちを動かす”ということ。たとえば新しい洋服を買うと人に会いたくなりますよね。未だ言語化されてはいないけれど、こうした誰もが共通して持つ気持ち、人間の本質的な感情を見つけ出し、社会の中に可視化することがデザインの役割だと思っています。」

講義3
山﨑さんは、デザインの力は以下の五つの要素に分類できるといいます。1.非連続な未来をビジョナリーに描くこと 2.物事の本質を捉えてシンプルにまとめること 3.顕在化していない概念を捉えて可視化すること 4.一貫した気配で彩り、美しく佇ませること 5.人の気持ちをうごかすこと 「デザインの力とは、こうした“思考”と“意匠”の力を社会と並走させることだと感じています。」

講義4
話題は本日のテーマである「デザインとデータ」に移ります。データやAIとどう折り合いをつけていくかを考える時代が来ており、どちらも同じ山を別の登山口から上っている感覚と山﨑さんは表現されます。「デザインにデータをどのように接続していくかが重要。データはAIに置き換えることもできるが、デザインの領域はデータ以外のところに属していて、デザインの本質的なところは人の気持ち(非言語・非データ・曖昧・潜在的価値)に繋がっていると感じています。」

講義5
山﨑さんがデータと仲良くするために大事にしているのが「体験」です。対象物が何であっても、体験してみるとデータからこぼれ落ちているものが分かるといいます。「僕はコスメも試しますし、ウーバーイーツの配達員もやりました。実際に体験してみると“ここに課題がある”と実感できて、そこからさまざまな発想が広がります。」自分自身の絶対的な体験と相対的な総量を持つデータを等価にすることが大切だと話されます。

講義6
「データを無碍にもしない。信望もしない。あくまで人間を知るための情報の一つだと捉えます」と山﨑さん。データと体験、あらゆるものを等価なものとして、想像力を武器に顕在化していない人間の本質を浮き彫りにしていくのがデザインであるといます。また余談として、人間の本質については一定数文学の中に描かれているので、古典を読んでみるのも良い経験になるのではとアドバイスをいただきました。

第2部:ワークショップ「新しい学校のコンセプトと作字」
ワークショップ
これまでセイタロウデザインが手がけてきた事例を通じて、学生たちはブランド構築やオリジナルフォント制作のプロセスについて学びました。ワークショップでは「作字」に挑戦します。「ブランドやデザインを立ち上げるとき、また新しい価値観や概念を生み出したいときに考える最小単位が“作字(文字)”です。」テーマは「デザインプレックスがNYに新しい学校をつくる」。日本の学校としての「コンセプト」と「作字」を考えるという課題が与えられました。

総評
学生の発表では、渋谷とNYの共通点をコンセプトにしたアイデアや、日本ならではのわびさびを活かしたコンセプトなど、ユニークなアイデアが多数生まれました。「どんな文字を使うかで、ブランドの声色や声の大きさ、しゃべる速度が決まるという感覚です」と山﨑さん。デザインの最小単位である文字から、ブランドの本質を考えることのできた貴重な時間となりました。山﨑さん、ありがとうございました。
