PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「線で表現する~カリグラフィー~」

グラフィックデザイナー/カリグラファー/東京デザインプレックス研究所 グラフィックデザイン専攻講師

高安 晶子 氏Akiko Takayasu

PROFILE
グラフィックデザイナー/アートディレクター/カリグラファー。日本大学芸術学部・写真学科卒業。エディトリアル系デザイン事務所勤務を経て、2004年独立。有名ファッション誌・ビューティー誌のレギュラーを多数持ち、雑誌・書籍のエディトリアルデザインを中心に、アパレルやライフスタイルブランドの広告制作など、幅広くデザインを手がける。デジタルとアナログをしなやかに行き来しながらつくるビジュアル表現を得意とする。

第1部:講義「線で表現する~カリグラフィー~」

講義1

今回は、当校のグラフィックデザイン専攻講師、高安晶子さんにご登壇いただきます。高安さんの過去の教え子たちも含め、教室には数多くの学生で超満員! 本日のテーマは、高安さんの得意分野である「カリグラフィー(手書き文字)」です。カリグラフィーのデザイン解釈&ワークショップという新鮮な今回のプログラムに、学生たちも興味津々の様子です。

講義2

長くファッション誌を中心としたエディトリアルデザインのお仕事をされている高安さん。ページをデザインする際、見やすくわかりやすく美しくレイアウトすることがメインですが、手書き文字を部分使いすることも多いそうです。近年では手書き文字を含む、アパレルやライフスタイルブランドのビジュアル制作など、デザインの仕事の幅がさらに広がってきたそうです。

講義3

続いて、現代における手書き文字の使われ方に注目しながら、映画のポスターやフライヤー、広告、パッケージなどを解説していただきます。ファッションやコスメ業界で数多く手書き文字が使用されたり、雑誌のキャッチコピーやタイトルの部分を手書きで書くということが積極的に行われるようになってきているといいます。様々なデザイン分野で定番化してきています。

講義4

手書き文字にはどのような効果があるのでしょうか。文字を手で書くことによって「せつなさ」「淡さ」「ゆらぎ」「親近感」などデジタルでは表現しにくい「情緒的なニュアンス」を表現することができるとのこと。デザインの中で手書きを使う時は上手く書くことがゴールでなく、使うことでデザイン全体が「活きる」、デザインを「活かす」文字を書くことが大切ですと高安さん。

第2部:ワークショップ「線を書く」

ワークショップ1

後半のワークショップでは、実際にカリグラフィーのニブ+ホルダーを使って「線」を書いていきます。インクをつけて文字を線を書くというプリミティブでフィジカルな体験。ほとんど学生たちがこれらを使った経験がなく、最初は思い通りに線を書くことができません。ペンの向き・インクの量・筆圧など、高安さんの手元をよく観察し、少しずつ線が書けるようになっていきます。

ワークショップ2

直線・曲線・円を書くなどの練習をしたのちに、アルファベットの基本の仕組みを教えていただきました。カリグラフィーの歴史はとても長く、そこから数多くの書体が生まれ、決まりごとも多く定められました。一方で近年生まれた「モダンカリグラフィー」は、自由度が高くアート的な側面も持ち合わせた文字だと高安さんは話します。

ワークショップ3

カリグラフィーの基本の知識を学んだあとは、いよいよ「文字」を書いていきます。練習をするうちにペンの扱いにも徐々に慣れてきたようで、とても楽しそうな学生の皆さん。最終的に、自分の名前のアルファベットをデザイン的に魅力的に書くことができた学生3名に、高安さんよりニブ+ホルダー+ミニインク+手書きのカードがプレゼントされました!

総評

「私が学生の頃に学んだ写真や、仕事に就いて関わることになったエディトリアルデザイン、今回のテーマである手で書くことなどは、最初は個々の経験としての「点」でしたが、自然とそれらが「線」になって繋がっていきました。皆さんも、線でつながった先にあるものを楽しみにしてデザインして欲しいなと願っています!」高安さん、本日は楽しいプログラムをありがとうございました!