PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「公演事業の仕掛け方~人を巻き込む力とは~」

ホリプロ執行役員/公演事業本部部長

篠田 麻鼓 氏Asako Shinoda

PROFILE
2001年に株式会社ホリプロ入社 入社時より舞台・ミュージカルの制作に携わり、プロデューサー、部長を経て2022年より執行役員 公演事業本部部長に就任。これまでにミュージカル『メリーポピンズ』、舞台『ねじまき鳥クロニクル』などミュージカル・舞台のジャンルを問わず、様々な作品をプロデューサーとして手掛ける。https://www.horipro.co.jp/

第1部:講義「公演事業の仕掛け方~人を巻き込む力とは~」

講義1

本日のプレックスプログラムは、株式会社ホリプロの執行役員 公演事業本部部長の篠田麻鼓さんにお越しいただきました。篠田さんは舞台版『ハリーポッターと呪いの子』やミュージカル『メリーポピンズ』など、数多くの作品のプロデューサーとして活躍されています。本日は「公演事業の仕掛け方、人を巻き込む力とは」について篠田さんのご経験をもとにお話ししていただきます。

講義2

「作品をつくることとチケットを売ることの間に、作品をお客様に届ける・知ってもらうというとても重要な作業があります」と篠田さん。舞台を販売する際には、商品が手元にない状態でお客様に売らなければいけません。藤原竜也さん主演の『中村仲蔵』という作品では、まだ台本も衣裳デザインも決まっていない中、フライヤーを制作しプロモーションを実施しなければいけなかったそうです。「ここでデザインの力が重要になってきます。」

講義3

篠田さんは「人の心を動かすデザインにすること」を最も大切にされています。特に交通広告を用いる際は、広告の前を行き来する様々な方に素早く内容を伝えるため、2秒で伝わることを念頭におきプロモーションを考えているといいます。また、フライヤーを制作する際は、モノとして印象に残り手元に残しておきたいと思わせるデザインにすることが重要とおっしゃいます。

講義4

続いて、舞台の種類による宣伝デザインの違いをご説明いただきました。レプリカ公演、招聘公演、翻案公演、オリジナル公演、原作有オリジナル公演の5種類に分けることができ、それぞれで展開が変わってくるとのこと。例えば、レプリカ公演では宣伝に使用する素材は全て指定されてしまうため、とても厳しい制限のなかで広告展開を考えなくてはなりません。その他にも、舞台作品ならではのデザインエピソードをお話ししてくださいました。

第2部:ワークショップ「ピーターパン宣伝展開について考えてみよう」

ワークショップ1

後半ではワークショップを行います。今回は、『ピーターパン』という作品をどの様にプロモーションをしていくべきか、どういう人にこの作品を届けていきたいか、などをチームに分かれて考えていきます。前半の篠田さんのお話を踏まえ、ピーターパンという歴史ある演目を学生たちはどのようにプロデュースするのでしょうか。

ワークショップ2

チームで発表した一部を紹介します。最初のチームは、「夏休みにネバーランドで家族みんなと思い出をつくろう」というコンセプトを発表。夏休みというタイミングを利用して、久々に祖父母に会える子供たちを想定し3世代で楽しめるイベントを提案しました。宣伝展開として、ピーターパンダンスを舞台演者と一緒に踊っている子供たちのYouTube広告や、ハッシュタグで我が子のダンスをSNSに投稿させる施策など、顧客自身が広告に加担する案を挙げました。

ワークショップ3

次のチームのコンセプトは「夏休みネバーランドアスレチック」です。ネバーランドを舞台にアスレチックを作り、子供たちの遊び場を設けるというもの。ミュージカル内のアクロバットのシーンがとても印象的なため、その部分とリンクするような施策です。この他にもそれぞれのチームがユニークな案を考案し、篠田さんに選ばれたチームには『ハリーポッターと呪いの子』の鑑賞チケットがプレゼントされました。

総評

最後に篠田さんからメッセージをいただきました。「皆さんが問題意識を持って講義を聞いてくださり、ワークショップへの取り組みに関してもとても感心しました。ぜひ興味があればホリプロに就職してほしいなという風に思いましたし、そして舞台にも足を運んでくださるといいなと思いました。」篠田さん、本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。