PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「CREATIVE POSSIBLE」

株式会社EVERY DAY IS THE DAY 共同代表/クリエイティブディレクター

佐藤 夏生 氏Natsuo Sato

PROFILE
博報堂のエグゼクティブクリエイティブディレクター、HAKUHODO THE DAYのCEOを経て、2017年、ブランドエンジニアリングスタジオEVERY DAY IS THE DAYを立ち上げる。adidas、NIKE、Mercedes-Benzといったグローバルブランドのクリエイティブディレクターを歴任。近年は、TOYOTAの事業戦略やdocomoのダイバーシティCSRの立ち上げ、霧島酒造のビール事業戦略、ZOZOアプリWEARの開発、渋谷区の都市デザイン等、クリエイティブワークを拡張している。GOOD DESIGN賞をはじめ、ACCマーケティングエフェクティブネスグランプリ等、国内外で数々の賞を受賞。2018年から、渋谷区のフューチャーデザイナー、横浜市立大学先端医科学研究センターのエグゼクティブアドバイザーを務める。東京デザインプレックス研究所プレックスプログラム登壇。

第1部:講義「CREATIVE POSSIBLE」

講義1

今回のプログラムは、佐藤夏生さんにお越しいただきました。2017 年10 月1日に設立された株式会社EVERY DAY IS THE DAY の共同CEO である佐藤さん。プレックスプログラムに登壇していただくのは、今回が3 回目となります。「ここ(TDP)の学生さんはすごくモチベーションが高くて、高いだけではなくてクリエイティビティやデザインにも可能性があると感じています」と、毎回の講義を楽しみにされている様子でした。

講義2

クリエイティブファームEVERY DAY IS THEDAY は、「CREATIVE POSSIBLE」というフィロソフィーを掲げて2017 年10 月に設立されました。そのフィロソフィーには、世の中の様々な問題や社会の構造などをクリエイティブの力で解決したいという強い思いが込められています。佐藤さんは、クリエイティブには社会や暮らしを変えられる力があり、この会社はクリエイティブで問題解決する専門会社になりたいと話します。佐藤さんがクリエイティブの可能性を感じたきっかけの一つに、iPhone の1つだけのホームボタンを挙げました。「戻るボタン」が一つしかない、だけどこれがあるだけでどんなに便利か、新しい便利を考えた人はとんでもなくクリエイティブだと佐藤さんは感じたと話します。

講義3

iPhone の「戻る」だけのホームボタンは、プロダクトデザインの概念ではなく、発想やアイデアのデザイン、発想革新によって生まれたもので、発想の転換1つで技術が革新する可能性を感じたと佐藤さんは続けます。新しい便利を生みだすことは、そこに何か形がなければならないわけではなく、アイデア一つで、iPhone の例でいうとデバイスと人との間に新しい関係を生み出すことと話します。「人によってクリエイティブディレクションという言葉の解釈はそれぞれあると思いますが、僕が思うに、それは決して表現技法の話ではない。どうやったら社会をつかめるのか、社会の捕まえ方だと感じています。」

講義4

続けて佐藤さんは「クリエイティブは何か物を作ることから、ここ数年で価値を生むことに変わってきている。僕が会社を作ったのは、これから日本にはクリエイション産業であったり、アイデアやクリエイティブを専門とする企業がどんどん必要になってくると感じたからです。日本がものすごいクリエイティビティ国家になったら、世界をも動かす国力としてクリエイティビティが機能していくはずです。それくらい社会にとって重要なものだと思う」と話します。それを裏付ける事例を交え、わかりやすく、かつユーモアを交えながらお話をされるので、あっという間に講義の時間は過ぎていきます。

第2部:ワークショップ「インバウンド企画を考えてみよう」

ワークショップ1

今回のワークショップはアイデア勝負、「日本の新しい観光事業」を自由に考えてもらいます。インバウンドで訪れる外国人に、日本の魅力を感じてもらうものであればどんなものでもいいと佐藤さんは話します。「例えば観光事業の運営の仕方に着目するのもいい。アイデアベースのものなのか、コンテンツなのか、も問いません。理屈もたくさんいらないので20 分でプランニングしてください」と佐藤さん。人をあっと言わせるアイデアを制限時間以内で考えてもらいます。学生たちは早速、グループでディスカッションを始めました。

ワークショップ2

20 分が経過し、いよいよアイデアの発表です。まずはじめのアイデアは、外国人観光客と一般の人をつなぐマッチングアプリです。観光事業はどうしても観光スポットなど「場所」に焦点を当てることが多いですが、この提案は日本の文化やカルチャーを知るきっかけとして「人」に焦点を当てた提案でした。佐藤さんもこの視点は面白い、と評価してくださいました。また、この提案に近しい事例も紹介してもらい、自分たちの提案がより具体的になった時のモデルケースとして、非常に参考になるフィードバックをしていただきました。

ワークショップ3

各グループの発表は、ツアーの企画や文化体験など様々な内容でしたが、現在のスマートフォンの普及に着目した、アプリの提案が多く見られました。デバイスの特性を生かし、即時性を生かしたアイデアや、個々人の趣味嗜好を使ったサービスの提案がなされていました。佐藤さんも発表の中で、観光地そのものではなく、誰と誰の視点を繋げるかという点に着目していたことを評価してくださいました。ただ、人の心が動くようなアイデアを生み出すことがどんなに難しいことなのか、短い時間の中でもワークショップを通じて皆さん感じたようです。

総評

最後に佐藤さんから改めて、学生たちに向けてメッセージをいただきました。「人を感動させる、ということ自体が難しいことで、ダンスや音楽のように芸術家と同じことをしようとしているものです。クリエイティブの仕事で、なかなかアイデアが通らないこともありますが、うまくいかない時もめげないことが大事です。自分の信念を諦めずに追求した人でしか達成できないものであり、世の中の常識を超えた先にしかクリエイティブの感動はない。クリエイティブの仕事はそれくらい大変ですけど、とてもワクワクできる仕事だと思います。」