PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「What is creative design?」

株式会社EVERY DAY IS THE DAY 共同代表/クリエイティブディレクター

佐藤 夏生 氏Natsuo Sato

PROFILE
博報堂のエグゼクティブクリエイティブディレクター、HAKUHODO THE DAYのCEOを経て、2017年、ブランドエンジニアリングスタジオEVERY DAY IS THE DAYを立ち上げる。adidas、NIKE、Mercedes-Benzといったグローバルブランドのクリエイティブディレクターを歴任。近年は、TOYOTAの事業戦略やdocomoのダイバーシティCSRの立ち上げ、霧島酒造のビール事業戦略、ZOZOアプリWEARの開発、渋谷区の都市デザイン等、クリエイティブワークを拡張している。GOOD DESIGN賞をはじめ、ACCマーケティングエフェクティブネスグランプリ等、国内外で数々の賞を受賞。2018年から、渋谷区のフューチャーデザイナー、横浜市立大学先端医科学研究センターのエグゼクティブアドバイザーを務める。東京デザインプレックス研究所プレックスプログラム登壇。

第1部:講義「Whatiscreativedesign?」

講義1

本日のプレックスプログラムはHAKUHODOTHE DAY代表の佐藤夏生さんをお迎えして行っていきます。昨年に引き続き2 回目の登壇となる佐藤さん。大手広告代理店の博報堂が2013年に設立した「HAKUHODO THE DAY」の代表である佐藤さんのお話を聞こうといつにも増して多くの受講生が集まりました。「ブランディング」 の具体的手法や「デザインとマーケティング」について、佐藤さんから多くを学びとってもらいたいと思います。それではプレックスプログラムのスタートです!

講義2

まずは佐藤さんの自己紹介から始まります。1996年に博報堂に入社、マーケティング局に4年、その後クリエイティブ局に職種転換。その後、いくつものプロジェクトに携わっていく中で、クリエイティビティを広告だけでなく、得意先の事業や経営に活かす仕事をするようになり、そうした領域の専門会社を!と2013年、「HAKUHODO THE DAY」を立ち上げます。モノとヒトとの関係性を革新することがアイデアであるという佐藤さん。そして、新らしいや面白いだけではなくて、モノとヒトの関係がどう豊かになるかを考えることがクリエイティブだと唱えます。

講義3

次に佐藤さんが近年ブランディングされたお仕事についてお話していただきました。マリオのCMで話題となったメルセデスベンツ GLAのエピソードをはじめ、ブリヂストンのCMでタイヤに新しい定義を打ち出した狙いやいき 「花と人の関係を豊かにする」さつを解説してくれました。佐藤さん曰く、ブランディングとはブランドイメージを更新すること。また、このお話を通して「机の前でデザインしている時間だけがザインではなくて、何を感じるかという所から既にデザインは始まっています。だからこそレーダーを磨いてください。」と佐藤さん。これまでの経験や実感からくる説得力のある言葉でした。

講義4

ではそのレーダーをどうやって磨くか。佐藤さんはご自身の経験から、モノとヒトの関係は時代によって変化することに気づき、レーダーを磨くということはモノとヒトの関係が変わる潮見を読むこと。そうする事によってそこに新しいコンセプトや新しいモノとヒトの関係性が生まれると説明してくれました。日々の中で何かを感じたときに何故自分がそう思ったのか、何故そう感じたのか、その理屈を発見すること、そういった作業を繰り返し行うことがレーダーを磨く上ですごく大事であると佐藤さんは説きます。講義を通して、クリエイティブディレクションの社会的な意味や価値が見えてきました。

第2部:ワークショップ「花と人の関係を豊かにする」

ワークショップ1

後半はワークショップです。今回のお題は「花と人の関係を豊かにする」をテーマに、フラワーカルチャーの新しいアプローチ方法を考えてもらいます。若い人がお花を買わない近年、どうすればもっとお花に目を向けてくれるのか、どうやったらお花が今の社会の中でより価値を発揮できるか、これまでにない花の売り方や渡し方、飾り方を各グループで話し合い、発表していきます。身近にあるお花だからこそできる戦略や活用法、逆に思いがけないものにお花を組み込んでみたりと、発想は様々ですが、佐藤さんを唸らせるアイデアは出てくるのでしょうか。それではいくつかご紹介していきます。

ワークショップ2

まずは「五感を感じるお花屋さん」。食べられる花や香りのいい花など、五感に特化したお花を揃えたお花屋さんを提案。佐藤さんから「とてもいいです。お花の価値というのは感覚でしかなくて、その感覚にいくら払えるかだと思うんです。だからこそ、五感に注目したこの戦略はいいですね。」ととても高評価。またお花を街コン等のイベントに活用する「コミュニティ・フラワー・ガーデン」という企画には「発見されていない産業の相性に注目した出会いの場とお花の産業を組み合わせた素晴らしいアイデアです!」と絶賛されていました。

ワークショップ3

他にもお花に広告をつけて配る企画や、花は花束で買うという行動に注目し、もっと手軽に一輪から手に取ってくれるよう企画した「一輪車」など、とても面白いアイデアが次々と発表されていきました。ただ講評するだけでなく、その先を見据えたアドバイスもいただき、生徒みんなとても参考になったようでした。第一線で活躍するプロならではの、モノの考え方やデザインへの興し方のプロセスを直に体験する事が出来る、これもプレックスプログラムの醍醐味の一つです。終始大盛り上がりだった今回のプレックスプログラム。

総評

最後に佐藤さんから総評です。「アイデアというものは結局のところ、自分自身の経験や見たものからしか出てこない。まずは、徹底的にレーダーを磨いてください。アイデアの元は天から降って来るのではなく落ちています。だからこそレーダーを磨いて日々の生活から何かを吸収する意識を持ってください。それが一番の材料だと思います。」