PROFESSIONAL MESSAGEプロフェッショナルメッセージ

小玉 文Aya Codama

PROFILE
1983年大阪生まれ。2007年東京造形大学デザイン学科グラフィックデザイン専攻領域卒業。株式会社粟辻デザインに7年在籍したのち、2013年株式会社BULLETを設立。特にパッケージデザインなど、印刷加工を用いたデザインを得意とする。おもな受賞歴に、GERMAN DESIGN AWARD、One Show(gold)、Pentawards(platinum)、Cannes Lions、D&AD(graphite)、Red Dot、iF Design Award、グッドデザイン賞など。

どんな仕事にも役立つ、デザインに伴う”考えるチカラ”。

美大に行きたいと思ったのは高校3年の頃。バリバリの進学校で、朝夕の補習でも皆が熱心に勉強するような環境でした。絵を描くことは好きでしたが、勉強漬けで将来お堅い仕事に就くようなルートから脱したいなぁ…と思ったのが正直なところです。

美大では、グラフィックデザインのサークル活動に励んでいました。自主制作した作品を持ち寄り、熱心に意見を交わすというストイックなサークルでした。デザインの本質に気づいたのは就活の時です。その頃には「デザインがすごく上手い同級生」が明確になっているんですよ。そんな人たちと真っ向勝負はできないと考えて、はじめは一般企業ばかり受けていました。面接で「私が美大で培ってきたものは、デザインを通じて問題解決を考える力です!」とアピールすると得てして評価され、それが自身の武器になったことを覚えています。

デザインの能力とは単に造形技術のことだけを指すのではなく、デザインする前段階で“問題点を理解するチカラ”、“解決方法を考えるチカラ”だと思います。そのチカラは、たとえデザインの仕事をしていなくても役立つものです。現在私はデザイン制作会社を主宰していますが、方法は必ずしもデザインではなくてもいいとすら考えています。見た目だけではなく、そこからサービスやプロダクトを作り出すことも踏まえて考え、要望に対する応えを提示する。それがクライアントの期待に応えることになれば、自分のやりがいにもなります。

また私自身は“デザイン=サービス業”であると考えているので、自らの作風は特に持たず、その都度求められる表現方法をかたちにするモノづくりをしています。それができるのは、私自身の興味がいろいろな方向に向いているからかもしれません。好きなもの、好きなこと、好きな人がたくさんいます。例えば印刷に興味が沸いたら、積極的に印刷会社さんへ出向いて話を聞きます。そうした積み重ねが幅広い知識となり、同時に人とのつながりが生まれ、自分自身の視野が広がっていると実感しています。

もちろん、私のやり方が唯一の正解ではありません。ひとつの手法・作風を深く追求し続ける人もいます。デザインは、その人の生き様や哲学がストレートに現れる仕事です。これからデザインの道を目指す若い人たちには、自分に対して素直に向き合い、楽しみながら、自分だけのデザインの道を歩んでみてほしいと思っています。

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