PLEX PROGRAM REPORT

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「レストランOUWNが作る、つなぐ料理」

2019年6月7日(金)

アートディレクター/グラフィックデザイナー OUWNファウンダー

石黒 篤史 氏

Atsushi Ishiguro

<PROFILE>

1983年、東京生まれ。佐野研二郎主宰のMR_DESIGNを経て、 2013年に「OUWN株式会社」を設立。アートディレクションから、グラフィックデザイン、サイン計画、web設計など多角的に企画立案製作に携わり、設立当初より継続的に国内外でデザイン賞を多数受賞。Design Workの他に「People and Thought.」といった、デザインを基軸に置きつつ、人の思考や現代の当たり前の感覚など、ベーシックとされてしまった思考に対して「疑問を見い出す」をテーマにした芸術活動・展示・作品製作も精力的に行う。自身が代表を務めるOUWN(オウン)は、私たち(OWN)とあなた(U)との共感・共有ができるようにと名付けられた造語でもあり、その気持ちを常に忘れずに、常に第一線であり、クリエイティブを突き詰める組織である。

石黒 篤史 氏

第1部:講義「レストランOUWNが作る、つなぐ料理」

講義1

本日のプレックスプログラムは、今回が初のご登壇となるアートディレクターの石黒篤史さんをお迎えしてお送りします。今回の講義のタイトルは、石黒さんが主に料理やご飯を食べることからデザインのインプットをしていること、そしてデザイン事務所OUWNを立ち上げる際に「レストランみたいな会社にしたい」という気持ちを込めたことから来ています。OUWNとは、”OWN(自分自身)+U(あなた)”。クライアントに歩み寄ってデザインを行う石黒さんのマインドからつけられた名前です。今回はそんな石黒さんとOUWNの事例から、デザインの考え方やこだわりについて講義していただきます。それでは石黒さん、よろしくお願いします。

講義2

OUWNの仕事の幅はとても広く、アートディレクション、Web、コピー等、それ以外にも多岐に渡っています。それぞれに特化したスタッフがいるわけではないので、その都度全案件をみんなでシェアしながら進めるのがほとんどとのこと。イラストを含む仕事になった際には絵の具で大きな一枚絵のビジュアルを完成させ、その絵を映像として動かしました。幅広い仕事ができるからこそ、本来別注になるイラストや映像を一手に請け負って自分たちで進めることができるのです。「イラストも描けるなら」とセットでの依頼も増え、更に仕事の幅も広がり、人との繋がりも増えていく。1つに特化したデザイナーには無いメリットです。

講義3

OUWNでは、”デザインに自分の色は出さない”、”相手が求めている以上を出す”を心がけているそうです。あるショッピングセンターのバレンタインキャンペーンの事例では「2つぐらい案を出してください」と言われたところで、なんと6案をクライアントに提示しています。方向性も様々で、”相手が求めているようなスタンダードなもの”、”ちょっとズレたようなクリエイティブに特化したもの”等、多彩なアイデアで多くの道を示していました。”デザインに自分の色は出さない”、”相手が求めている以上を出す”、まさにこの2つを体現しています。

講義4

OUWNでは、飲食店などでの展示を依頼されることもあるそうです。自由に作っていい展示でも、その時々の店のキャンペーンや内装に合わせたデザインだったり、来店するお客さんのことまで考えた提案をしています。クライアントが嬉しいことが一番のモチベーションなのだと石黒さんは言います。「いつもの仕事とは違った行為なので、疲れはするけど頭はスッキリするし、チームワークも生まれます。大変だったけどやってよかったねってみんなでよく言っています」学生たちは今回の講義で、石黒さんやOUWNの方々が、どのようにして”相手に歩み寄っている”のかを聞いて、とても参考になったのではないでしょうか。

第2部:ワークショップ「笑顔・悲しい顔の似顔絵と合わせた、傘の中吊り広告」

ワークショップ1

後半はワークショップです。今回のお題は「傘の中吊り広告です」です。学生たちは予め課題として出ていた自分の笑顔・悲しい顔の似顔絵を描いてきました。そこへ配られた紙とクレヨンで、それぞれの似顔絵の気持ちに連動した傘のイラストを描いてもらいます。大きい傘を一つでも、小さい傘を沢山でも構いません。最後にグループを作って、グループ内で最もいい似顔絵・傘のペアを選び、そこにキャッチコピーをつけ、中吊り広告とします。似顔絵以外はその場で発表された課題なので、感性とともにデザインの速度、さらにはチームワークも試されます。学生たちはどのような広告を打ち出すのでしょうか?

ワークショップ2

学生たちが発表したものから幾つかご紹介します。似顔絵は特に個性が出るようで、風邪をひいた時の自分を描く人もいれば、自分が嫌いなマヨネーズをモチーフにして、そこに顔をつけた人もいて、まさに十人十色の結果でした。傘のイラストでは、笑顔の似顔絵に対して「踊ってしまうぐらい嬉しかったから」と、傘が踊っている絵。悲しい顔の似顔絵に対しては傘に雷が落ちているものなど、こちらも個性豊かです。コピーは、”嬉しい時に傘なんていらない”のように非常に力を感じるものや、”はねろ、雫と私の気持ち”・”ゆれる、傘と私の気持ち”のように2つセットになったものもありました。

ワークショップ3

石黒さんに今回の課題の目的をお話いただきました。「今回の課題は僕がよく使う手法です。シンプルなパソコンで作ったようなものがあったら、あえて全然違うグラフィックだったりとかアナログなものを用いて、相反するテクスチャを使います。結構使えて、良いアンバランス感が出たりします。手が込むってこともありますね。それと、てれこも結構やることが多くて、同じ土俵で考えてからバラバラにして、再構築することで違ったアイデアとかコピーが生まれるので、社内でもかなりそれで案を出します。そういうことを体験していただけたらなと思って、こういう課題にしました」実務を意識したワークショップ、学生たちにとっては貴重な経験です。

総評

最後に石黒さんから総評です。今回の講義はレストランでつなぐ料理ということでしたが、デザインを様々なものに繋げるためにも、広い視野を持って欲しいと石黒さんは思っています。しかし、情報過多のこの時代では広い視野を持つばかりでなく、数ある情報の中で自分の指針となるようなものを一つ見つけて、突き詰めることも必要なのだと言います。「そこを見つけて、アイデアをいろんな手法で出しながら頑張っていって欲しいと思います」今回の講義は、学生たちにも”つなぐ”ということを意識するきっかけになったのでは無いでしょうか。石黒さん、本日は有難うございました!

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