COCOROMACHI LABOこころまちラボ

こころまちラボは、東京デザインプレックス研究所が企画・運営するラボラトリーで、2017年に始動した「こころまちプロジェクト」を⻑期的に継続・発展させることを⽬的としている。
「こころまちプロジェクト」は、本校の学⽣が主体となり、横浜市⽴⼤学先端医科学研究センターの武部貴則教授と東京デザインプレックス研究所が連携して、⻑く退屈な⼤学病院での待ち時間をデザインの⼒で楽しい時間(こころ待ち時間)へ変えていく「デザイン×医療プロジェクト」である。

こころまちプロジェクトの体制

こころまちプロジェクト誕⽣の背景

iPS細胞から世界で初めて⾎管構造を持つヒト肝臓原基(肝芽)を創り出すことに成功するなど「再⽣医学」の分野で多くの実績を残す武部貴則教授は、⼗年来「広告医学」にも注⼒してきました。広告医学とは、デザインや広告の⼿法で医療情報を伝え、健康⾏動を促すことを⽬的とした概念です。その広告医学の考えに呼応したのが、3.11後の2012年1⽉に創⽴され、「ソーシャルデザイン」を教育コンセプトの⼀つに掲げる東京デザインプレックス研究所です。そして、本校の特別授業に武部教授が登壇したことがきっかけで、本校の学⽣5名が主体となり、東京デザインプレックス研究所と横浜市⽴⼤学先端医科学研究センターが連携して「こころまちプロジェクト」が誕⽣しました。

こころまちプロジェクト

「こころまちプロジェクト」は、2017 年12 ⽉に横浜市⽴⼤学附属病院の2 階ロビー・1 階休憩室にて実施された。公的な⼤学病院ではデザインを⾏う上で幾つもの規制や制約が存在する。例えば、壁にシートを貼るだけでも、そのシートの素材や可燃性、衛⽣管理⽅法、消毒⽅法、接着剤の安全性にまで気を配る必要がある。このように膨⼤な課題を⼀つ⼀つ解決しながら「こころまちプロジェクト」のデザインは形になった。今回のデザインと医療との好循環が広く医療現場に波及することを願っている。

COCOROMACHI PROJECT2017-2019:
YOKOHAMA CITY UNIVERSITY HOSPITAL

こころまちツリー

〜クリスマスの時期に実施した参加型インクルーシブアート〜

横浜市⽴⼤学付属病院のキャラクター「ヨッチー」が受付の横に設置した⼤きなツリーをデコレーションする設定です。このこころまちツリーは時間の経過と共に、患者様やそのご家族の⽅々の願いや想いの詰まったステッカーであっという間に⼀杯になりました。ステッカーには、⼤切な誰かを想うメッセージが多く書き込まれました。

こころまちチェアー

〜待合室の椅⼦をギャラリーに〜

患者さんが最も不満を持っているのは「診察までの平均待ち時間が2時間以上と⻑いこと」でした。そこで、椅⼦に座っている待ち時間が楽しくて癒されるようにデザインしたのが「こころまちチェア」です。椅⼦の背に、カラーセラピーや視⼒回復トレーニング、脳トレなどの要素を取り⼊れたアート写真を10種類以上展⽰しました。

こころまち MAP

〜折り紙にもなる院内マップ〜

院内のMAPやこころまちプロジェクトを紹介したフライヤーを作成。そして、待ち時間が楽しくなるようにフライヤーは折り紙にしました。少し難易度の⾼い折り紙を折ると、そこには「こころまちラウンジ」へ導く仕掛けが隠されており、メッセージに従い「こころまちラウンジ」に⾏くと⾎液型別BOXに折り紙を⼊れる仕組みになっています。

こころまち Web

〜こころまちプロジェクトの概要を掲載〜

こころまちプロジェクトの概要から実際に⾏ったデザイン企画まで紹介したWebサイトを制作。また、Webサイト上では、各デザイン企画のアンケートに回答できる仕組みを導⼊。今回のプロジェクトは、患者の皆様やそのご家族をはじめ多くの⽅々からご称賛いただき、医療関係者からも多くのご反響も頂いております。

こころまちラウンジ

〜患者にも優しい休憩スペース〜

⼊院患者さん⽤の休憩スペースをリデザイン。全て学⽣達で床のフローリングや壁紙をDIYしました。
⾜が不⾃由な⽅に配慮したバリアフリーな家具を設置し、壁にはリフレクト印刷やインスタ映えするスポットも展⽰し、ちょっとした遊び⼼も加えました。また、医事課の⽅々とも連携しながら、衛⽣⾯や安全性などについても配慮しました。

こころまちプロジェクトメンバー

プロデューサー
横浜市⽴⼤学先端医科学研究センター 武部 貴則 教授
ディレクター
東京デザインプレックス研究所 学校ディレクター 沼⽥ 努
デザイナー 東京デザインプレックス研究所
⼩椋 瑞希/ ⼩髙 明⽇⾹/ ⾼野 夏美/ 廣永 薫⼦/ 中澤 ⼤

⾼野夏美(こころまちツリー担当)

「こころまちツリーでは待ち時間の苦痛軽減とともに病院に集まる⼈達の様々な想いが形として⾒えてきました。ほんの粒程度かもしれないけれど、デザインを通して⼈々の⼼に光を灯すような⼒になれたらと思います。そういうところにこそデザインの⼒が必要と考え、今回のプロジェクトに参加しました。」

⼩椋瑞希(こころまちチェア・ラウンジ担当)

「体調が悪くて動けない⽅には、座った⽬線の先にリラックスできるコンテンツを。気分転換したくても病院から出られない⽅には、アートカフェに出掛けた気分になれるラウンジを。⼩さな⼼遣いの存在(デザイン)が、患者様の負担感緩和や病院との良い関係性構築に繋がるのではないでしょうか。」

⼩髙明⽇⾹(こころまちMAP・WEB担当)

「”⾒⽅が変わると世界は変わる、ひいては待ち時間の景⾊が変わる”という気づきを2つの媒体を通して体験してもらえたらと思いました。患者の望み、医療従事者が施したいこと、デザイナーの作りたいもの。どれも対症療法的な解決策です。少しずつでも真の問題に近づけるよう、これからも地道に活動を続けていきたいです。」

廣永薫⼦(こころまちラウンジ担当)

「病院はマイナスなイメージを持たれがちですが、院内に⾏きたくなる場所をつくることで、訪れる⽅の気持ちの負担が軽減されるのではないか。デザインの⼒で、⼈が健康に導かれ、病気の負担が少しでも軽減される・・・。誰からも愛されるような空間に、誰もが楽しめるコンテンツを準備しました。」

中澤⼤(こころまちプロジェクトコンセプト担当)

「医療技術の発展と⽐べて、病院という特殊な場、その場で過ごす時間におけるコミュニケーションは軽視されている現状に、デザインからメスが⼊りました。待ち時間に留まらず、今後、汎⽤性・応⽤性を⾼く、このようなコミュニケーションデザインが医療現場に波及することを願います」