PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「姿勢をつくる」

アートディレクター/デザイナー

土田 あゆみ 氏Ayumi Tsuchida

PROFILE
アートディレクター。デザイナー。筑波大学芸術専門学群ビジュアルデザイン領域にて、ブランディングやグラフィックデザイン、フォトグラフィーを学ぶ。2014年に独立。グラフィックデザインとWebの知見、そしてファッションの感性を基軸に、企業のブランディング、グラフィックデザイン、パッケージデザイン、ウェブデザインなどを手がける。東京デザインプレックス研究所プレックスプログラム登壇。

第1部:講義「姿勢をつくる」

講義1

今回のプレックスプログラムはアートディレクター・デザイナーの土田あゆみさんに初めて来ていただきました!歴代のプレックスプログラムで2人目の、20 代の講師です。本校に初めての登壇ということと、学生たちの平均年齢にとても近いこと、それでいて現在アートディレクターとして勢いよく活躍していることが相まって、講義を聞きたいという学生が数多く申し込み、会場は超満員!参加する前に、土田さんからの課題も発表されており、学生は課題を取り組んだ状態で臨んでいます。今回は「姿勢をつくる」というテーマです。

講義2

まず、土田さんがこれまで行った仕事の経歴を紹介してくれました。土田さんがこれまで関わったクライアントの業種・商材は幅広く、人材、美容、飲食、テクノロジー、web、音楽、中には漁業のような第一次産業もありました。そのうち大半はファッション系が占めています。「ファッションが好きであり得意なので、意識的に寄せています。」と土田さんは話します。媒体も広告や雑誌、ルックブックなどの紙ものから、イベント、Web サイトまで手がけることもあるそうです。ジャンルも制作するものも幅広く手がけている土田さん。同世代の学生たちはそれぞれ様々な思いで講義を聞いています。

講義3

具体的な仕事内容の紹介に移ります。GAP やCOACH などのファッションの案件の話や、人材サービスを商材にしたCaster Biz の広告、コールドプレスジュースのお店であるGOFFAjuice など、各仕事でのエピソードを土田さんはお話してくださいました。仕事の依頼時にはweb デザイナーでアサインされていたところ、広告キャンペーン全体をゼロから考え直して、まるっとアートディレクションを頼まれることになったケースもありました。また、ファッション系の仕事を増やしたいと考えていた土田さんは、直接自分からクライアントに会いに行き、仕事を取りに行ったりしていたそうです。土田さん自身の行動力とコミュニケーション能力の高さがうかがえます。

講義4

講義の本題「姿勢をつくる」ことの具体的な内容に話が進みます。「姿勢を確立しないとずっと目標が遠いまま」と土田さん。姿勢を作るとは、自分の中で決め事を作ることであり、自分はこういう生き方やり方で生きて行くという行動指針を決めることです。土田さんの決め事は「ダサい」ものはとにかく省くこと、人よりすごく努力をすること、プロ意識を高く持つこと、知識を増やすこと、そして人を大事にすることです。「本当に時間を無駄にはできない」と話す土田さんは、とにかく努力の仕方がストイック。少しでも時間が空いたらインプットに費やすそうです。「私もみなさんもまだまだこれからだと思います。一緒に頑張っていきましょう!」会場全体の士気が上がったところで前半の講義は終了です。

第2部:ワークショップ「広告ポスターをデザインしてみる」

ワークショップ1

ワークショップに移ります。事前に土田さんから発表された課題は、土田さんのお仕事実績で紹介されたオンライン秘書サービス「CasterBiz」の駅貼り広告ポスターを、自分たちが作成するとしたら?という課題です。広告の目的や、KPI、ターゲットも土田さんが作成した時と同じに設定しています。アートディレクターという立場にたって、「何を伝えるのかも自分で自由に考えてみてください。どんなものでも構いません。作り込んでくる必要はありません。」と土田さんから指示がありました。皆さんはどんな広告を作ってきているのでしょうか?

ワークショップ2

各グループに分かれ、自分のグループのメンバーに自分の案の発表を行います。課題で設定された媒体は広告のため、当然ですが不特定多数の人に見られるもので、一人でも多くの人に注目してもらえるような物でなくてはなりません。まず、このグループの中でいかに注目してもらえるかがポイントになります。グループの中で一番評価された案が、全体への発表と移ります。ここでなんとか土田さんにアピールしたい、自分の案が選ばれたい、そんな気持ちが学生たちの様子から垣間見えます。各グループの発表が終わり、数名が選抜されました。いよいよ全体への発表です。

ワークショップ3

一人目の発表者の案は、CasterBiz が提供するアシスタント業務である、秘書、人事、経理、Web 運用の中でも秘書に注目し、「どうせなら綺麗な秘書がほしい…」という心理を利用した広告案でした。このように提供するサービスに着目する人もいれば、「その手があったか」というキャッチコピーから、“ 手” に着目した案もありました。表現方法も、映画のエンドロールをイメージしたものから猫を起用したものまで、様々な案が飛び出しました。土田さんからも「課題に対して情報を少なく皆さんに投げた中で、こんなに色々違う案が出たんだ、というのが面白かったです」と驚かれていました。

総評

無事に発表とフィードバックが終わり、最後に土田さんから一言もらおうとしたところ、突然参加している学生全員に何も書かれていない郵便ハガキが配られました。「最近、リアルなものはいいな、って思うようになって。今の時代にこそ大事にしたい。この講義が終わったあと、皆さん好きな絵でもいいし、写真でもコピーでも、私に伝えたい!というものがあれば送ってください。その時どこかに自分らしさを持たせてほしいです」と土田さんは話しました。仲間として、そしてライバルとして一緒に活躍していこうという労いをくれた土田さん。作品はもちろん、そんな人柄も魅力的でした。