PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「詩をそそぐ、器の形(デザイン)について」

詩人

菅原 敏 氏Bin Sugawara

PROFILE
詩人。2011年、アメリカの出版社PRE/POSTより詩集『裸でベランダ/ウサギと女たち』で逆輸入デビュー。執筆活動を軸に、異業種とのコラボレーション、ラジオやテレビでの朗読、デパートの館内放送ジャック、海外での朗読公演など、幅広く詩を表現。Superflyへの歌詞提供、東京藝術大学大学院との共同プロジェクト、美術家とのインスタレーションなど、音楽や美術との接点も多い。現在は雑誌『BRUTUS』や『GINZA』web他、連載も多数。東京デザインプレックス研究所プレックスプログラム登壇。

第1部:講義「詩をそそぐ、器の形(デザイン)について」

講義1

本日のプレックスプログラムは初のご登壇となる、詩人の菅原敏さんをお迎えして行っていきます。詩人という一風変わったお仕事を生業としている菅原さん。新聞や雑誌での執筆活動にとどまらず、音楽ユニットSuperflyへの作詞提供や美術館でのインスタレーションなど、ジャンルの垣根を越えて幅広くご活躍されています。自分の想いを言葉にして、人に伝えるということはクリエイターになる上でも欠かせないものではないでしょうか。いつもとは少し違ったプレックスプログラムですが、どんなお話が聞けるのかワクワクします!

講義2

「詩をそそぐ、器の形(デザイン)について」をテーマに、前半は菅原さんに講義していただきます。詩人として活動されている菅原さんですが、雑誌や書籍といった紙を器とするお仕事だけではなく、時にはミュージシャンと一緒に詩の朗読会を行い、音楽にのせて詩を空間という器にそそいだり、時には「詩人天気予報」を企画して、メディアという器に向けて詩をそそいだりと毎回新たな試みで世間を楽しませています。詩集という書籍にとどまらず、様々なメディアで活躍する菅原さん。詩にユーモアやエンターテインメント性を与えることによって、普段中々詩に触れ合う機会のない人たちにも詩の面白さを伝えていくことができると言います。

講義3

次に、菅原さんがこれまで手掛けられたお仕事(詩)を、贅沢にも菅原さん本人の朗読でご紹介いただきました。ライトダウンされ、菅原さんが言葉を奏でると、会場はすぐさま菅原さんの世界観で包み込まれたようでした。これも会場という器に詩をそそぐという行為によって生み出された菅原さんの技なのかもしれません。また特別に受講生たちに詩のリクエストコーナーを設けてくれたりと、講義の中でも受講生を楽しませる菅原さん。多くの人に親しまれているその理由がそこにあるように感じました。

講義4

話題は菅原さんのこれまでのみちのりに移ります。大学を卒業後、ジャズバンドをしながらコピーライターのお仕事をやっていた菅原さんですが、30歳を過ぎたのを機に一旦両方やめようと決断したそうです。そしてIT企業の編集部に入ります。しかし以前から自分の表現活動で生きていきたいという気持ちがあった菅原さんは会社員をしながら編集者の人と打ち合わせを繰り返し、ついに作品を完成させます。そしてその頃から徐々に詩人としてのお仕事が増えてきて、半ば見切り発車で会社を辞め、詩人としての活動を本格化させたそうです。「詩というものに軸を置きながら、違う分野・違う世界に足を踏み入れる事で自分なりに楽しんでそれを仕事にしています。」という菅原さんの言葉は、クリエイターを目指す受講生みんなの心に響いたのではないでしょうか。

第2部:ワークショップ「声と言葉のカットアップ」

ワークショップ1

後半はワークショップです。事前に考えてきてもらった詩を並べ、いいと思ったものに投票します。その中から投票数の多かった数名がみんなの前で朗読するのですが、意外や意外。上位のほとんどが男性の受講生の書いた詩でした。男性はロマンチストが多いとよく耳にしますが、こういった言葉選びも得意だということでしょうか。菅原さんも感心されていて、大いに盛り上がった発表となりました。

ワークショップ2

まだまだワークショップは続きます。
今度はチームに分かれて、それぞれ自分が考えてきた詩を発表(朗読)し合っていきます。そして今回のワークショップのテーマにもあるように、「カットアップ」していきます。
各自、書いてきた詩(言葉)をハサミでバラバラにし、その言葉たちをチームで再構築して、新たな詩を編集し、一枚の紙に貼り付けていきます。そして最後に、各チームで発表していくというものです。別々のテーマや情景で書き出された言葉が全く別の作品との組み合わせによってどんな化学反応を起こすのか楽しみです!

ワークショップ3

いよいよ発表の時間です。
始めはちゃんと一つの作品になるだろうかと不安だった人もいましたが、どのチームも素晴らしい仕上がりになっていて、菅原さんも思わず、「いいですね!ぐっときました!」と絶賛されていました。実際に発表した受講生も、「今日会ったばかりの人たちがパパッと詩をまとめて一つの作品が瞬時に出来ることが凄く面白かったです。」と楽しんでいた様子でした。こういった試みのワークショップは中々できる機会がないと思うので、受講生みんな貴重な体験が出来たのではないでしょうか。

総評

いつにも増して大盛り上がりだった今回のプレックスプログラム。最後に総評です。「詩を作っている時の皆さんが、笑顔で笑いあっている様子を見てすごく幸せでした。普段、中々生活の中で詩が身近に感じることはないと思うんですが、言い表せなかったものが、とある言葉でぴたっとハマったり、言葉と言葉が繋がった時というのは凄い体験になるし、今後のお仕事に生きてくると思いますので、今回のワークショップを胸に、今後の創作活動に臨んでいただけたらと思っています。」
菅原さん、本日はありがとうございました!