PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「クリエイティブディレクションと10のルール」

株式会社ダイナマイトブラザーズシンジゲート クリエイティブディレクター/アートディレクター

高木 裕次 氏Yuji Takagi

PROFILE
株式会社ダイナマイト・ブラザーズ・シンジケート クリエイティブディレクター/アートディレクター。good design companyを経てDynamite Brothers Syndicateに参画。ライフスタイルを中心とした多種多様な分野で「人を動かすデザイン」を目指し、アートディレクションにとどまらず、ブランディングを軸としたコミュニケーションデザインに携わっている。東京デザインプレックス研究所プレックスプログラム登壇。

第1部:講義「現場目線で語る「10のルール」と圧倒的な手数の重要性」

講義1

今回のプレックスプログラムは、株式会社ダイナマイト・ブラザーズ・シンジケート(以下DBS)より、クリエイティブディレクターの高木裕次さんお迎えしました。高木さんは現場目線の心構えとして10のルールを提示し、その筆頭として『たくさんやる(つくる)こと』の重要性を説きました。現在のAI時代においても「考える人」と「作る人」を分けて考えるのではなく、自ら手を動かし続けてトライ&エラーを積み重ねることにより審美眼や解像度が上がり、正しいクリエイティブの判断が可能になると語ります。

講義2

続いて『その先まで考える』というルールでは、クライアントの説明をそのまま鵜呑みにせず、世の中・自分・クライアントという3つの視点から考える重要性が語られました。スキンケアブランド「SNIDEL BEAUTY」の事例では、ブランドが持つ「自然と科学」「可愛さと強さ」等の対比に着目。それらを「あざと女子」というポジティブなコンセプトに転換し、その矛盾をビジュアルに展開した経緯が解説されました。

講義3

デザインの本質は形を作ることではなく、そこに意味やストーリーを持たせることにあります。そんな『見た目じゃなくて意味を作る』のルールの事例として、ランニングステーション・サウナ・バーの複合施設「ととけん」を紹介した高木さん。「ととのう」という言葉を、スケジュールや人間関係の整理という意味に拡張させたコンセプト案や、そこから「ブームからカルチャーへ」というコンセプトに昇華した経緯が語られました。また、『ちゃんと矢印になっているか』というルールでは、UCCの店舗「UCC CAFÉ MERCADO」のロゴ提案の際の裏話も話してくださいました。

講義4

デザインの目的は、「伝える」ではなく「伝わる」コミュニケーションを作ることです。LeSportsacとBABYMONSTERのコラボレーションでは、単にビジュアルを製作するだけでなく、ロゴ同士を融合させた新しいロゴマークを作成することで、コラボレーション自体を強く印象付ける設計が行われたと言います。またクリエイティブはチームワークであるため、フォトグラファーやスタイリストが面白がって自由に動ける「遊び場(コンセプト)」を作ることがディレクターの役割でもあると語られました。

質疑応答

講義後の質疑応答では、クライアントへの提案までの期間や制作体制、モチベーション維持の方法など多数の質問が。理想のクリエイティブと現実の予算との乖離についての質問には、「予算がないのに高級に見せようとすると安っぽくなる」とし、予算に見合った身近でカジュアルなデザインなどに調整して価値を作ることが重要だと回答。男性でありながら女性向けブランドを手掛ける思考法については、性別を超えた共通の願望(若々しくありたい等)を信じて取り組んでいるとお答えいただきました。

第2部:ワークショップ 「大切な誰かへのプレゼントを考えてください」

ワークショップ1

後半のワークショップのテーマは、「大切な誰かへのプレゼントを考えてください」です。発表では、特定の相手を深く想像した多彩なアイデアが多く出ました。相手を尊重するために「時間」そのものをプレゼントする『完全カスタマイズされたホテルサービス』という案や、足の悪い祖母が孫と通話しながら運動ができる『ウェルネスバイク』、新しい挑戦を後押しする『背中叩き券』などが共有されました。

ワークショップ2

さらに、多忙なパートナーの頭の中がほどけていく様子をプロダクトとして視覚化した『ほどける入浴剤』や、マレーシアへ旅立つ友人に向けた詩『スコールニモマケズ』、両親との会話を生むための『家族のためのガイドブック』など、ユニークなアイデアが次々と発表されました。具体的な誰かを思い浮かべることで、単なるモノの提供を超えた、情緒的な価値や体験のデザインへと昇華されていく様子が会場全体で共有されました。

総評

「僕が伝えたかったのは、これら全てが受け手を想像することに紐付いているということです。デザイナーは、どこかの誰かに喜んでもらうことを想像して作ることが一番大切です。それが難しければ、家族や友人など身近な人を想像することで、アイデアが深まったり、違う視点が見えてきたりします。仕事に置き換えると、クライアントやその先にいるユーザーのことを調べ、想像を巡らせることで、届くアウトプットができると思います。」高木さん、貴重なお話をありがとうございました。