テーマ:「空気をデザインする ~Part8~」
ベルベッタ ・デザイン 空間デザイナー
加藤 陽脩 / 竹内 美保 氏Yosuke Kato / Miho Takeuchi
- PROFILE
- ◆加藤 陽脩氏
取締役/チーフデザイナー。千葉大学園芸学部緑地環境学科を卒業。2012年よりベルベッタ・デザインに参画。国宝建築である善光寺本堂でのインスタレーションに初年度から携わるほか、丸ビルやグランフロント大阪をはじめとする全国各地の商業施設でのクリスマス・冬季演出、若林仏具店本店など店舗の内外装デザイン、イベント展示空間の設計など、幅広いプロジェクトを手掛ける。
◆竹内 美保氏 デザイナー。慶應義塾大学文学部 美学美術史学科を卒業後、東京デザインプレックス研究所で空間デザインを学ぶ。一級建築士事務所でのインターンを経て、2018年よりベルベッタ・デザインに参画。多くのプロジェクトにコンセプトメイキングから携わり、屋外空間でのインスタレーションやイルミネーション、商業施設のクリスマス演出などを担当するほか、ベルギーのイルミネーション企画Globall Concept とのプロダクト開発を推進。

第1部:講義「空気をデザインする ~Part8~」
講義1
今回のプレックスプログラムは、VELVETA DESIGNより、チーフデザイナーの加藤陽脩さんと本校修了生でデザイナーの竹内美保さんをお迎えしてお送りします。VELVETA DESIGNがテーマに掲げる”空気をデザインする”とは、有形・無形を問わず、すべてをデザインの要素として考えること。そして、五感全てを使って空間を感じられるように要素をデザインすること。本日は、空間における"物語"という点にポイントを置いて、事例とともに解説していただきます。

講義2
VELVETA DESIGNでは、毎年ホリデーシーズンにイルミネーションやクリスマス装飾などの空間プロデュースを数多く手掛けています。こうした空間体験における物語は、次の3つに分解して考えることができるそうです。【①その場所を訪れる手前の段階】様々な情報に触れてからその場所に足を運ぶ方が多くいるため、全体のイメージや見どころなどが伝わるよう、メディアに向けた資料やイメージパースなどを制作する。

講義3
【②実際に足を運び、訪れた時の体験】メインとなる空間そのもの(今回はクリスマスツリーなど)に物語を与える。「初期構成は世界観を広げることを重視し、あまり具体化せず、ざっくりとした印象だけを決めてスケッチすることが多いです。その後、照明演出のショーのプログラムを考えたり、音楽を一から作ったりなど、形のないさまざまな要素を組み合わせることを考えながら、スケッチした空間を具体化し、空気をデザインしていきます」と竹内さん。

講義4
【③会場を後にした時の物語】訪れてくれた方が感じる印象や感想について、思いを巡らせる。「これらは私たちが具体的に操作できるものではありませんが、"読後感"のような心に残る印象を持ち帰っていただくことを目指しています。空間に込めた想いがどのように届いているのかは、現場の声やSNSなどからリサーチしています。」様々な場所で多くの情報に触れられる現代では、実際に足を運んでくださる方だけでなく、メディアを通してご覧になる方も多く、空間体験としての質と写真・動画の見栄えの両立など、今の時代ならではの難しい課題もあるとおっしゃいます。今回の講義では、グランフロント大阪で開催された『GRAND WISH CHRISTMAS 2025』を例に、空間における物語のデザインをご紹介いただきました。

第2部:ワークショップ 「物語性のある空間を考える」
ワークショップ1
後半のワークショップでは、「物語性のある空間を考える」というテーマのもと、東京デザインプレックス研究所の校舎や教室について考えます。「どんな形でも構わないので、物語が人に伝わりやすく届くことを意識してみてください」と加藤さん。学生が考えたアイデアを以下に紹介します。【クレイジーな街で、とらわれない発想の渦を】講師を中心に囲むように学生の机を配置した教室レイアウトを提案。「講師を中心とした"渦"に学生が集まり、そこから知識やコミュニケーションが生まれる空間をつくれたらと考えました。」

ワークショップ2
【デザインと新たな自分に出逢う校舎】1階部分のテーマを「meet(会う)」と題し、学生の作品を展示するギャラリーや、制作に必要な材料が揃う売店を設置。上の階は「新しい体験」をテーマに、大規模な作業をしたりプレックスプログラムなどが開催できるホールも用意。フロアごとに異なるテーマを持たせることで、校舎を訪れる一人ひとりの物語をつくっています。「どういうところから物語をつくっていくか、皆さん様々な方向性から検討していてとてもいいですね」と加藤さん。

総評1
最後にお二人からコメントをいただきました。「人の記憶や印象は、自分自身の体験がベースになっていると思っています。そのベースを超えてくるような体験があった時、人はより感動したり、印象に残ったり、心が動いたりするんじゃないかなと。デザインを考える時も、「自分」を主語にしたデザインと、「他者」を主語にしたデザインの両軸で考えてみると、より多くの方に伝わるものをつくることができると思います。日々いろいろなところにアンテナを張って、いろいろなことを吸収していってください。(加藤さん)」

総評2
「皆さん様々なベクトルからのアイデアがあり、どれもが素晴らしいものでした。この場で発表をしなかった皆さんも、同じようにいろいろなことを想像していたと思います。それは全部正解だと思ってもらって構いません。今日考えたことを大切に、自分の中で肯定して次に活かしてもらえたら嬉しいなと思います。(竹内さん)」空間デザインを学ぶ学生だけでなく、それ以外の学生にとっても、デザインの視野を広げる機会になったのではないでしょうか。VELVETA DESIGNのお二人、貴重なお話をありがとうございました。
