テーマ:「ファインアートと商業デザインを行き来する」
アーティスト/アートディレクター/YAR 代表
ヨシロットン 氏YOSHIROTTEN
- PROFILE
- 1983年生まれ。グラフィックデザイナーとしてキャリアをスタート。ラグジュアリーブランドや国内外のミュージシャン、東京のアンダーグラウンドクラブから現代美術フェアまで幅広いクライアントを持つアートディレクターとして活躍。代表を務めるデザイン・スタジオ「YAR」では、広告・イベント・ロゴタイプ・内装 / 外装デザイン、ウェブ・映像など、商業に於いて、視覚芸術が関わるほぼ全ての範囲で、膨大な量の仕事を手掛けている。アーティストとしては2018年に大規模な展覧会「FUTURE NATURE」を開催し、2023年3月に新国立競技場の地下駐車場において銀色の太陽を描いた365枚のデジタル・イメージを軸にインスタレーション、アルミニウム・プリント、NFT、バイナル・レコード、書籍など様々な媒体で発表する「SUN」を開催した。

第1部:講義 対談「ファインアートと商業美術の境界を超えて」
講義1
本日のプログラムは、アーティスト/アートディレクターのYOSHIROTTENさんをお迎えしてお送りいたします。YOSHIROTTENさんの手掛けるクリエイティブ領域はとても幅広く、グラフィックデザイン、アートディレクション、映像ディレクション、空間デザイン、プロデュースなど、視覚領域に関わる様々なジャンルでご活躍され、宇多田ヒカルさんや山下達郎さんなどのアーティストやブランドとのコラボレーションでも話題を作っています。

講義2
まず見せてくださったのは、YOSHIROTTENさんがクライアントに自分を説明する際に使っているという資料の数々。「アーティスト、ファインアーティスト、アートディレクター、グラフィックデザイナーなど様々な領域を行き来しているような形で、ものづくりをずっとやってきました。実は、独立する前は東京デザインプレックス研究所の講師の先生の元で5年間働いていました」と驚きのエピソードも。

講義3
これまでたくさんの個展を開いてきたと話すYOSHIROTTENさん。最初は原宿の洋服屋さんからスタートし、そのギャラリースペースのロゴデザインからキュレーションになども関わることになったそうです。代官山蔦屋書店で行った個展では、平面の作品だけでなく音楽のインスタレーションや映像、立体、彫刻など、いろんなものを混ぜ合わせた「ギャラリーとクラブが混ざったような」展覧会を実現させたと言います。

講義4
「完全に自主制作だったので、もう今まで独立して貯めたお金を全部使ってやっちゃうぐらいの感じでした」と当時を振り返り、個展は自分の表現をアピールするための大きな機会になったと話します。その後もディズニーとのエキシビションや、香港での森山大道さんとのコラボレーション展覧会、ドーバーストリートマーケットへの展開など様々なプロジェクトが進行し、コロナ禍にずっと作っていたという作品『SUN』は国立競技場の駐車場でインスタレーションが行われました。

講義5
コロナ禍に1日1枚、1年間にわたり手作業で描き続けられたSUNは、全365点の周囲の色彩を反射する銀色の太陽のイメージで構成されています。SUNはその後、文化庁主催で千葉の幕張メッセ周辺の様々な場所に展開し、500台のドローンや国内最大クラスの野外LEDスクリーンを使った作品や、空中に浮遊する作品、日本特有の製法で作られた和紙を用いた作品など、総数約50点に及んで展示されました。さらにカナダのモントリオールのアートプロジェクト『MAPP_MTL FESTIVAL』『Quartier des spectacles』でも展示されるなど、大きな話題となりました。

講義6
2024年には、銀座グラフィックギャラリーにて『Radical Graphics Bio』が開催。「グラフィックの大先生たちが何十年と展覧会をしてきた場所での開催にあたり、僕がやれることは何かと考えこのタイトルにしました。RGBはこれまでの僕のグラフィックの略歴のようなもので、家でコンピューターを使って一人で作っていたグラフィックが、平面を超えて映像になったり立体になったり空間になったりっていうのが自分らしい作品の作り方なので、そうやってきた自分の略歴を作品の大きなテーマにしました。」

講義7
続いてはクライアントワークの紹介に移ります。山下達郎さんの『SPARKLE』のミュージックビデオ制作については、「40年かけて一回もMVが作られなかったこの名曲のミュージックビデオを何としてでも作りたいという思いに駆られ、コンペに参加しました」と熱く語られるYOSHIROTTENさん。家でレコードを2回かけ、予算も何にも考えずに思ったイメージをそのまま企画書に書いたところから始まった作品だといいます。「美しい状況の瞬間を見せるビデオであればいいなと思いました。」

講義8
最後に学生時代のエピソードとともにアドバイスをくださいました。「学生時代にはインターンをしながら、常に自分が作りたいものを作り続けてそのポートフォリオを持ち歩いていました。行動することによって何かが生まれたことはすごくいっぱいあります。ライフワーク的に仕事でもないものを好きに作り続けて積み上げて、それをどこかで積極的にアピールしていく。そうやって自律的にどんどん広がっていくことが理想的だと思います。」YOSHIROTTENさん、素敵な講義をありがとうございました。
