テーマ:「チームラボのモノづくりⅡ」
チームラボ 採用チームリーダー
山田 剛史 氏Takeshi Yamada
- PROFILE
- チームラボ 採用チーム リーダー。2017年にチームラボのメンバーに。チームラボはアートコレクティブ。2001年から活動を開始。集団的創造によって、アート、サイエンス、テクノロジー、そして自然界の交差点を模索している国際的な学際的集団。アーティスト、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、様々な分野のスペシャリストから構成されている。ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール、シリコンバレー、北京、メルボルンなど世界各地でアート展を開催。ミュージアム・大型常設展を、東京(チームラボボーダレス、チームラボプラネッツ)、アブダビ(teamLab Phenomena Abu Dhabi)、ジッダ(teamLab Borderless Jeddah)、マカオ(teamLab SuperNature Macao)などで開館した他、今後も京都、ハンブルクなどでオープン予定。https://www.teamlab.art/jp/

第1部:講義「チームラボのモノづくりⅡ」
講義1
本日のプレックスプログラムは、チームラボより山田剛史さんをお迎えします。「チームラボは、様々な分野のスペシャリストが集まり、最新のテクノロジーを活用したものづくりをしています。」と話す山田さんは、採用チームのリーダーとして、採用に関わること全般を担当されています。今回はチームラボのモノづくりについて、「アート」と「ソリューション」に分けて解説していただきます。

講義2
今までのアート作品は、物質に固定されている作品を人間が訪問して鑑賞するという体験がほぼ全てでした。チームラボは、デジタルテクノロジーを使い、物質に固定されていないアートを創っています。「例えば3DCGで絵をつくるとキャンバスの中で絵を有機的に動かすことができるし、さらにプロジェクションマッピングとモニターを繋げると絵が額縁から抜け出すこともできます。」

講義3
山田さんはデジタルテクノロジーがもたらす恩恵について、以下のように話します。「デジタルテクノロジーによって、変化そのものをより自由に、より厳密に表現できるようになりました。人々のふるまいや作品の置かれている環境によって、どのように変化させるかということが表現できるようになったのです。つまり、作品を鑑賞者に対して「インタラクティブ」(双方向的)にすることで、鑑賞者が作品へ参加することができるようになりました。」

講義4
チームラボのコンセプトの1つに、「Transcending Boundaries(作品の境界を破壊する)」があります。「本来、世界は、複雑に連続し合い、独立して存在できるものはないし、境界もありませんが、人間は世界を認識するときに、分断し、境界のある独立したものとして認識してしまいます。様々な作品が関係し合い、境界なく連続する世界を創り、体験してもらうことで、普段当たり前に思っている境界を考え直すきっかけになったらいいなと思っている」ということです。そんなチームラボは2025年、UAEのアブダビに新しいアートプロジェクト「teamLab Phenomena Abu Dhabi」をオープンさせました。チームラボが提唱するコンセプト「環境現象」をテーマに、特異な環境下によって生み出される現象によって、作品群がつくられています。

講義5
続いての話題は「ソリューション」について。チームラボはアート制作と並行して、最新のテクノロジーを活用したソリューション、大規模なシステム開発や、プロダクト、デジタルコンテンツの制作などを行っています。ゼロから企画提案し、デザイン開発、保守、グロースまでを一貫して行なっています。その内容は銀行や自販機のアプリなど、業種は様々です。ここでは大手テーマパークアプリの事例についてお話しいただきます。

講義6
良いソリューション=結果が数字で計測できると考えるチームラボ。アプリを通して顧客の満足度を上げてほしいという依頼があり、まずは満足度を下げている点を探っていったといいます。その結果、ユーザーが楽しく遊べる時間が増えることをKPIの一つとして設定し、アナログだったチケットをデジタル化することで、ユーザーの列に並ぶ時間を削減することに成功しました。

第2部:ワークショップ「チームラボのモノづくり」
ワークショップ
後半はワークショップに移ります。今回はモノづくり体験のワークショップ。学生たちはチームラボの制作プロセスを疑似体験すべく、制限時間内にクラフトカーを製作していきます。完成したクラフトカーのスピードが1番早いチームが勝ちという、数字に正直なチームラボらしいゴール設定も。チームで楽しそうにワイワイ車をつくる学生の姿が印象的でした。

総評
最後に山田さんよりメッセージをいただきます。「今回のワークショップ、何がチームラボっぽい制作プロセスだったのかというと、僕らも毎回何かをつくる際には、何をしてよいかわからないというところから始まっています。とりあえず取り組み、前回よりも次回の方が良くなっていくというようなプロセスからしか良いモノはできないと考えています。天才がいていきなりすごいモノができるということはなく、繰り返し繰り返し調整しながら良いモノをつくっていくという姿勢を伝えたかったです。」山田さん本日はありがとうございました!
