PLEX PROGRAM REPORT

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「伝えるのヒント」

2018年1月16日(火)

コピーライター

渡辺 潤平 氏

Junpei Watanabe

<PROFILE>

コピーライター。1977年生まれ。早稲田大学教育学部卒業。博報堂、GROUNDを経て渡辺潤平社設立。最近の仕事に日本経済新聞/日経電子版「田中電子版」、大塚製薬/オロナミンC「前向き!前向き!」、千葉ロッテマリーンズ/シーズン広告、UNIQLO「TANPAN!」/「新チノ」「新カーゴ」・ウルトラライトダウン「あなたは、着てみておどろく。」 ベネッセ/全ゼミ合同キャンペーン「進め、学び。」、VAIO株式会社/ブランド「自由だ。変えよう。」、SUBARU/LEVORG「DRIVE JPN」 アサヒビール/スーパードライ ドライブラック「キレの、黒。」 、プレイステーションポータブル/みんなのテニスポータブル「全員修造!」、三菱地所グループ/「三菱地所を、見に行こう。」など。 カンヌ国際広告祭ブロンズ、TCC新人賞、日経広告賞部門賞など受賞。

渡辺 潤平 氏

第1部:講義「伝えるのヒント」

講義1

会場は満員、今か今かと待つ受講生が楽しみにしている今回のプログラムは、コピーライターの渡辺潤平さんの講義です!過去参加した受講生から「楽しかった!」と評判の声が多い渡辺さんのプレックスプログラム。今回も、卒業生の声などを聞きつけて多くの受講生が参加してくれました。渡辺さんは今回で3回目の登壇になりますが、この参加者の人数に「すごい人口密度が…高いですね」と驚かれていました。まず最初に渡辺さんから自己紹介を兼ねて、最近のお仕事の事例を紹介頂きました。どれも一度は目にしたことのある広告で、講義の冒頭から映し出されたスクリーンに皆さん目が釘付けです。

講義2

渡辺さんは皆さんに問いかけます。「突然ですが、今日、誰とも喋ってない。何も文字を書いていない。そんな方はいますか?」「…いませんよね。言葉は水や空気と一緒で、生きていくためには絶対に欠かせないものです。」ただ一方で、自分の言葉を普段人はそれほど意識していないと渡辺さんは続けます。「伝えることの面白さや伝わることの面白さ、その感覚を覚えると仕事でも普段の生活でも必ず良い方向に生きてきます。」では、実際にどんな言葉を使えば、人の心は動くのでしょうか。そこで渡辺さんが広告を作る上で影響を受けた「名作コピー」を幾つか紹介してくれました。そのコピーたちにはある共通点があると続けます。

講義3

その共通点とは、「全然難しいことは言っていない、当たり前のことを言っている」ことを指摘しました。コピーは特殊技術ではなく、すごく素直であればあるほど強い言葉になると渡辺さんは話します。技術よりも、日常に溢れるヒントをつかむ力、発見する力が大事であり、その方が同じ日常を生きる人々の心に刺さることを強調して話されていました。次に、具体的にそんなコピーを作るやり方を受講生に紹介します。それは「流行り言葉を作る」こと、もう一つは「みんなの気持ちを代弁する」ことです。こちらでも事例を取り上げながら、やり方の実践方法を話してくださいました。

講義4

多くの事例を紹介する中で、特に千葉ロッテマリーンズの広告を手がけた時の経験が、自分の仕事の原体験となったと渡辺さんは話します。かねてからロッテファンだった渡辺さん。ただ、実際は広告に当てられる予算がなく、当初頭を悩ませていたそうです。そんな中でも良い広告をと、出来上がったコピーと広告はたちまちロッテファン、その後他球団のファンからも話題を呼び、成功を収めました。「ファンとして何を言ってほしいか流行り言葉の感覚も、みんなの気持ちの代弁することもファンとしてわかるんです。」そして渡辺さんはこの時、リアルな気持ちを書くこと、分かりやすい言葉で書くこと、そうすればちゃんと人に伝わることを確信したと断言しました。渡辺さんからの素直な気持ち、伝えたい気持ちが溢れている講義となり、前半戦は修了です。

第2部:ワークショップ「美味しさを伝えるキャッチコピー」

ワークショップ1

渡辺さんが今回用意したワークショップのお題は、「最近食べた中で一番美味しかった食べ物を、とにかく美味しそうなキャッチコピーにしてください」という、実際にコピーを考えてもらうワークショップです。「難しく書くことと、文章がうまいことは、完全に別物です!」と断言した渡辺さん。まずは、どの食べ物を取り上げるか?その食べ物を、どんな作戦でインパクトある言葉に仕立てていくか?その面白さがちゃんとみんなに伝わるか?これらを踏まえて受け手の共通の価値観が現れるコピーを考えてもらいます。制限時間は20分。珠玉の一本に絞り、一人1コピーをA4の紙に書いて提出してもらいます。

ワークショップ2

20分が経過したのち、皆さんからコピーを書いた紙を回収していきます。渡辺さんが参加者約70名分のコピーをざっと一通り見ていき、ベストコピーを選んでいきます。渡辺さんは結果的に5本に絞り、発表に移ります。優秀なコピー5本の発表の前に、渡辺さんが「おしい!」と感じたコピーを幾つか発表しました。コピーで伝えたい食べ物は餃子、カニ飯、唐揚げ、焼肉・・・など様々。発表したコピー一つ一つに、渡辺さんが生徒に質問を投げかけます。コピーで伝えられなかった意味や、実は別の意味だったという回答に、渡辺さんが速攻でツッコミが入り会場は笑いに包まれます。

ワークショップ3

いよいよ優秀コピー5本の発表です。まずはお酒のコピー「酔える香水」。渡辺さんは「完成度が高くて美しい。頭に残るホットワードです!」とコメント。次は「溢れ出る台湾!」という小籠包のコピー。聞いただけで美味しそう。次は渡辺さんが読んだ時全くわからなかったので選んだというこのコピー。「母さん こんなの どこでおぼえたの?」。最近母親の料理が劇的に美味しくなったと話す生徒さん。しかし実はそれは某中華レトルト商品だったというオチ付きで、渡辺さんも「それは切ないね!」と苦笑い。次は長めのコピー「ハム、タマネギ、タマゴ、ごはん、塩胡椒少々に中国四千年の歴史が詰まってる。」大きいスケール感が好印象です。最後に発表されたのはうどんのコピー「過炭水化物」。とにかくインパクトが大きい!と渡辺さんも絶賛でした。

総評

ワークショップを終え渡辺さんは、「全て選べなかったけど、一つ一つにツッコミどころがあってよかったです。短い時間にぎゅっと脳みそ使うとき気持ちいいですよね。ぼくはそれをずっと楽しんでいます。」とのこと。最後に、渡辺さんから講評です。コピーに限らず、平均点を取りに行こう、失敗をしないようにしようと思った時点で負け!自分らしさに振り切ることが重要だと渡辺さんは続けます。「個性とは演出するものではなく、にじみ出るもの。その個性が自分のコピーに一貫性を生みだします。だから自分が生きてきたすべてのことが全部大事。自分の感情を知り、記録する術が必要になります。」「最後に言いたいのは、人に伝えることは面白いこと。言葉を考えることを楽しむこと、これだけは、絶対に忘れないで下さい。」渡辺さん、ありがとうございました!

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