プレックスプログラム レポート

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「数奇なキャリアが描くデザインと世界」

2017年10月7日(土)

建築家・美術家

佐野 文彦 氏

Fumihiko Sato

<PROFILE>

1981 年奈良県生まれ。京都、中村外二工務店にて数寄屋大工として弟子入り。設計事務所などを経て、2011年、佐野文彦studio PHENOMENONを設立。大工として、技術や素材、文化などと現場で触れ合った経験を現代の感覚と合わせ、新しい日本の価値観を作ることを目指してデザインやインスタレーションを手掛けている。2011 Fumihiko Sano studio PHENOMENON設立。2012 パリにて折形を通し日本の文化を紹介する会員制サロン『MIWA』をデザイン。2013 ニューヨークで開催されたArts of JOMONに『Ma/ Ba』にて参加。2014 文部科学省共同主催「夢ビジョン2020オープンセッション 霞が関で私の未来をブレストする!」(第1回)にて部長、モデレーターを務める。2015 21_21DESIGN SIGHIT 単位展に『UNIT of MUJI』にて参加。無印良品有楽町店 エントランスステージにて『ユニットシェルフでできた家』を制作。東京ミッドタウンにて開催されたデザインタッチ2015に 『木ヲ見て森ヲ見ズ』にて参加。 日本デザイン振興会主催メコンデザインセレクションにてミャンマーの現地企業との共同によるプロダクトデザイン、京都市にて築110年の木造洋風建築をリノベーションしたコワーキングスペース『MTRL KYOTO』を設計。

佐野 文彦 氏

第1部:講義「数奇なキャリアが描くデザインと世界」

講義1

今回のプレックスプログラムは初登壇の建築家・美術家の佐野文彦さんに来ていただきました!当校の受講生たちは、通う前のキャリアや学歴、学んできたことなど、バックボーンがみな違った中で学校に通っていますが、佐野さんのこれまでの歩みもまた、他の人とは違うものです。「建築家」と聞くと、専門的な教育を受けてなれるものというイメージですが、佐野さんの場合はどのようなキャリアを積まれてきたのでしょう。講義冒頭で佐野さんより「自分がどういう風に生きてきたかの話もしたいと思います。」と受講生たちも始まる前から興味津々です。

講義2

佐野さんは実は、高校まで陸上競技を続け、高校卒業後は競輪選手を目指したアスリートでした。練習に明け暮れた日々を過ごした後、自分の今後を見直し始めた佐野さんは競輪をやめ、新たな道に進むことを決めます。「一生やれるものをやりたい」そう思った佐野さんは、もともと好きだったというアート方面に方向転換。アーティストを志します。ギャラリーでアルバイトをしたり、たまたま見つけた高級家具屋さんにスカウトされ働いたり、働きながらアートや小物のデザインなどに触れていきます。その中で、家具デザイナーでありながら建築家であるアルネ・ヤコブセンの存在を佐野さんは知ります。建築家は、極めて行けば色んなプロダクトなど、建築以外のものも作れるということに魅力を感じた佐野さんは、建築家を志します。

講義3

ここで佐野さんがとった行動は、有名クライアントを抱えていた工務店への弟子入りでした。「学校行って覚えなきゃいけないこととかはあるだろうけど、有名大学に行っても見れないものがここにはあるだろう、と自分で考えました。自分はただでさえ出遅れていて、自分の同い年のヤツより遅れているのに、そのあとまた学校に入っていくと、さらに追いかけることになることの危機感を感じて、じゃあ一か八かじゃないけれど、この工務店に弟子入りしようと決めたんです。」ここから、佐野さんは大工として働くことになります。また、昼は大工として働く傍、夜中の時間を使い友人宅のリノベーションを行うなど、精力的に活動していたそうです。

講義4

大工として5年間働いた後は、海外に渡って様々な人との出会いによって、「建築家」としての佐野さんへ仕事の依頼が来るようになりました。佐野さんが手がけた建築や実績をスライドに映しながら、当時の様子などを楽しそうに思い出しながら佐野さんは話していました。特にお話の中で印象的だったのは、佐野さんの一つ一つの行動に勢いがあり、またその行動が必ず何かしらに実を結び、次の行動につながるという、佐野さんの行動力がいい連鎖を生み出していることでした。受講生たちも、佐野さんの思い切った行動や、またその時の決断に対して迷いがない様子に、勇気を与えられている様子でした。ここで前半の講義は終了です。

第2部:ワークショップ「『宇宙』をクリエイティブで描く。」

ワークショップ1

佐野さんが今回プレックスプログラムのために用意したワークショップは、「宇宙」という壮大なテーマです!宇宙について調査、研究をしている研究所をクライアントとして、一般の人が宇宙について興味を持ってもらえるコンテンツを皆さんに考えてもらいます。研究機関などから発信するものは、やはり難解なものが多いため、一般の人に興味を持ってもらうためには何か仕掛けが必要です。「僕らみたいなクリエイターが関わることによって、自分たち(研究機関)がどういうことをやっているのか、もっと宇宙に興味を持ってもらうために何ができるかを考えていきたい」と話す佐野さん。複雑で不透明なものを、明快にわかりやすくするのは、デザイナーの役割でもあります。

ワークショップ2

ワークショップを始めるにあたり、佐野さんから受講生に向けてコメントがありました。「社会に対して向けたものである必要があり、社会とのつながりをどう持たせていくかが鍵になります。できれば、何かを見て「ふーん」で終わるだけでないものがいいですね。何かサービスや有益なプロダクトなど自由に考えてほしいです。」また、佐野さんからは色んな例をあげてくださり、考えるヒントとして受講生も聞いています。できるだけ柔軟に、自由に考えるよう、活発に受講生同士でディスカッションを行い、いよいよ発表です。いったいどんなアイディアが出てくるのでしょうか。

ワークショップ3

まず発表したグループは、タイトル「自分の体の中の宇宙」と題し、人体と宇宙を対にしたテーマで考えました。無数の細胞でつくられた人体そのものを、宇宙と捉え、その中のDNA情報を一つの星としてたとえます。特設会場を作り、自分のDNAをその場で調べてもらうと、宇宙の中の星とリンクさせて星の情報も教えてくれる、など、自分の体を使って宇宙を身近に感じてもらうという狙いです。佐野さんは「人体そのものと宇宙をつなげるということは身近に捉えやすくていいと思います。」とコメント。ただ、発表の中で宇宙や星からだんだん関連性が薄れてしまう危険性も指摘されました。

総評

また、別のグループは「惑星移住アプリゲーム」というものを発表しました。各惑星からどれか一つを選び、それぞれの惑星の土地を人間が住めるよう開拓していくゲームです。これにより、その惑星の気温や水の有無などを同時に知ることができるというものでした。また、スマホの歩数計機能を使ったアプリや、VRなど、現代に合わせたコンテンツの発表も目立ちました。今回、ワークショップを終え、皆さん特定の分野に囚われず、興味を持ったものに柔軟に考えていく姿勢を学んだ様子でした。受講生からも「佐野さんのようにアグレッシブに色んなことにチャレンジしたいです!」という声が上がりました。佐野さん、本日は本当にありがとうございました!

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