プレックスプログラム レポート

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「VI(ヴィジュアルアイデンティ)が果たす役割」

2017年9月29日(金)

アートディレクター

木住野 彰吾 氏

Syogo Kishino

<PROFILE>

東京生まれ、廣村デザイン事務所で廣村正彰氏に師事、2007年にグラフィクデザイン事務所6D設立。企業や商品のブランディングを中心に、ロゴ、パッケージ、サイン計画など多岐に渡り活動。主な仕事に、キリン「Home Tap」アートディレクション、パナホーム「atim」ブランディング、伊勢「ゑびや」ブランディング、サントリーの愛鳥活動「Line of life Project」アートディレクション、新宿新南口「NEWoMan」・「LUMINE0」サイン計画、渋谷「HMV&BOOKS」VI計画、常陽銀行企業広告、三井不動産「柏の葉スマートシティ」サイン計画など。主な受賞に、カンヌライオンズ、D&AD、one show、アジアデザイン賞、サインデザイン賞、ADC賞、JAGDA賞 他国内外多数。2016年D&ADデザイン部門審査員、2017年グッドデザイン賞審査員。現在、東京工芸大学芸術学部デザイン学科の准教授を務める。

木住野 彰吾 氏

第1部:講義「VI(ヴィジュアルアイデンティ)が果たす役割」

講義1

今回のプレックスプログラムは初のご登壇、アートディレクターの木住野彰悟さんにお越しいただきました。皆さんが一度は目にしたことのあるデザインを数多く手掛けており、その活躍の場は多岐に広がっています。今回はそんな木住野さんのお仕事であるアートディレクションについて、そしてブランディングの中心となるVI(ヴィジュアルアイデンティティ)についても詳しくお話ししていただきます。それではプレックスプログラムのスタートです!

講義2

そもそもアートディレクションとは?木住野さんは問題点や疑問点を見つけ、それをどうやって解決するか、その解決までの道筋を考える事だと言います。またクライアントからの依頼(お題)をどう捉えるかがすごく重要で、あるべき姿を想像できるかできないかで能力の差が生まれるとのこと。これまで多くの経験をされてきた木住野さんだからこそ言葉に説得力があります。「あるべき姿が見えていれば表現すべきものとそのアイデアは自ずと出てきます。まずは立ち位置を明確にすることで、適切なアイデア、完成までの道筋が見えてくると僕は思います。」

講義3

続いての話題はVIへ。前述のとおり、VIとはヴィジュアルアイデンティティの略語で、一般的には企業のコンセプトやブランドをヴィジュアルで表現した全てを指し、ブランディングをするうえで非常に重要なデザインの要素であると木住野さんは言います。そんなVI について、実際に木住野さんが手がけられたお仕事を例にお話していただきました。2013年に手がけたJAマインズ多摩支店のVI。20周年というタイミングで建て替える支店の建築に伴うサイン計画を依頼されたのですが、ヒアリングをしていくとサイン自体の提案の様々な問題点が見つかったと言います。そこで木住野さんは、VIでその問題点を解決しようを考え、見事JAマインズ全体のブランディングを成功させます。

講義4

他にも、老舗問屋が新たに展開するブランドのVIや、練馬区桜台の銭湯のリニューアルVIなどを例に、ここでしか聞けない制作の裏側も交えて詳しくご説明していただきました。「ヴィジュアルで個性を作っていく。しかしアイデンティティが何なのか案件によって毎回状況は違います。そんな状況の中で、クライアントでさえはっきりとしていない完成形をカタチにすることがとても大切で、それこそがVIの役割であり、僕の仕事だと考えています。」そう話す木住野さんから高いプロ意識がうかがえました。

第2部:ワークショップ「三重県伊勢にある『ゑびや』のVI計画」

ワークショップ1

後半はワークショップです。今回のテーマは「三重県伊勢にある「ゑびや」のVI計画」。伊勢は神宮参りをした人が地元の人々に神宮で受け取った「みやけ」を配ったことで、土産文化の発祥の地とも言われています。「ゑびや」はその地に100年以上の歴史を持つ、食堂兼お土産店です。今回はその「ゑびや」のロゴやデザインツールのリニューアル案をいくつか考え、デザインしてもらいます。前半の木住野さんのお話を参考にして、新たな「伊勢」と「ゑびや」を伝えるVIを生み出すことができるのでしょうか。

ワークショップ2

今回は事前に課題が出されていたので、しっかりと作り込んできた受講生も数多く見受けられました。これは発表が楽しみです!
それではいくつか抜粋してご紹介していきます。
まずは伊勢海老の成長過程を色にあしらったロゴのアイデア。透明色や赤色など、その時の形態の色をうまくロゴへと変換させています。このアイデアに木住野さんは「発想は面白いと思いますが、伝えたい部分がちょっと不明確。もう少し分かりやすくして消費者の共感を得られるように考えてみてください。」と評価。さすが木住野さんの専門分野の課題だけあってなかなか手ごわそうです。

ワークショップ3

続いての発表は、ゑびやの3つの要素、伊勢神宮・おもてなし・お食事処をイメージしたアイデア。こだわりの味を心のおもてなしで提供するをコンセプトに考えられたロゴやVI に、木住野さんからもお褒めの言葉をいただきました。他にもお土産を家に持って帰った時に機能するように作り込まれたVI案や、お食事処とお土産屋を、線画を用いてシンプルなディティールにこだわり表現したロゴで、VIへの展開にしやすさを狙ったアイデアなど木住野さんも目を引くような発表が次々と行われました。このワークショップを通してブランディングデザインについての、とてもいい勉強になったのではないでしょうか。

総評

最後に木住野さんから総評です。
「僕はグラフィックデザイナーを何年もやって、今はアートディレクターのお仕事をしていますが、やっぱりいまだに手を動かすことで頭が働きます。やっぱりそこからじゃないとアイデアはスタートしないと思うし、何も生まれません。20つ作った人と1つ作った人とでは能力に差が大きく生まれます。そしてその積み重ねで自分が目指すべき部分、姿勢が見えてくると思うので、とにかく徹底的に手を動かす。この事を心掛けて、これから是非頑張ってください!」 木住野さん、本日はありがとうございました!

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