プレックスプログラム レポート

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「まあるいアタマをゆるくする」

2015年4月18日(土)

グラフィックデザイナーメディアクリエイター
トール 至美 氏×市川 健治 氏
Yoshimi TowleKenji Ichikawa

<PROFILE>

【左:トール 至美 氏】
グラフィックデザイナー。1990年多摩美術大学グラフィック・デザイン専攻卒。1993年独立。以降、ソニー・コンピュータ・エンタテイメント、パラマウント・ ジャパン、EDOYAレコード、アンリミテッド・レコード、EMIジャパン、他出版社との直取引により多数の映画DVD・音楽CDジャケット、広 告制作を行う。また食品業界とも関わりが深く店舗CIやレシピ・ブック、料理誌への出稿多数。

【右:市川 健治 氏】
メディアクリエイター、アーティスト。1990年に考案した「ピクセル・モンタージュ(Pixel Montage)」という技法を用いた作品のスタイルで、日本グラフィック展、日本ビジュアル・アート展、APA日本写真ビエンナーレ、プリンツ21グランプリ展、現代日本美術展、岡本太郎現代芸術賞等、数々のコンペティションで受賞歴を持つ。東京・横浜・名古屋・上海・ニューヨーク・ミラノ・ボローニャ・国内外を問わずアートフェアや展覧会に出品。一昨年は「笑っていいとも!」に出演。

トール 至美 氏×市川 健治 氏

第1部:トークショー「まあるいアタマをゆるくする」

講義1

今回のプレックスプログラムは、グラフィックデザイナーのトール至美さんとアーティストの市川健治さんのお二人をお迎えして行いました。当校でも講師をされているお二人、まずはそれぞれご自身の紹介も含め、これまでのお仕事や経歴についてお話いただきます。まずはトール先生から。
はじめに先生が授業で受け持たれた受講生さんの作品や、学校内外での人との関わり、趣味で通われているヨガのお話やご家族・古い友人についてなど、公私含めたご自身の紹介をスライドショー形式でお話くださいました。また、今後は写真をもっと勉強したいとの意欲を語られ、いつまでも学び続ける先生の姿勢を感じることができます。

講義2

次に先生のデザイナーとしてのこれまでのお仕事をご紹介いただきます。まずは、1995年頃から約10年間ほど手掛けられた映画関係のデザインについて。先生はこれまで、およそ600本もの映画のジャケットをデザインされてきました。実際に市場に出たデザインのみではなく、採用に至るまでに制作したデザイン案など、映画業界の内情や裏話と併せてお話頂きました。関わる業界も多岐にわたっており、その内容はNPO関連のお仕事や、企業案内のデザインをすることもあれば、フレンチレストランのロゴから、近所の焼き鳥屋さんのメニューにまで及びます。また、ここ2~3年のお仕事では手ぬぐいやテキスタイルのデザイン、コスメのパッケージデザインなど、更にお仕事の幅を広げてご活躍されています。

講義3

最後に先生が社会人になってから、フリーランスとして独立するまでのことをお話いただきました。アナログ時代のデザインのことや初めて自分で受け持った仕事の話、エンタメ業界への転身のきっかけとなったエピソードなど、当時から活動的に動いていた先生の姿が想像できるようでした。また独立後に再びアナログに戻り線や模様を描き続けていたとのこと。そのようにしてアナログとデジタルを行き来しながら歩んで来たデザイナー生活が、デジタルとアナログを組み合わせた先生の新たなスタイルに繋がっているそうです。

講義4

続いては市川先生のご登壇です。市川先生は映像を使って、ご自身の25年間の作家生活をご紹介くださいます。映像の準備中には、普段の穏やかな人柄で場を楽しませてくれる市川先生ですが、映像が始まった瞬間に空気は一変します。トール先生とは、またひと味違う見せ方に会場内も期待が高まり、荘厳な音楽と共に先生の作品が画面に映し出されます。独自に開発されたピクセルモンタージュという技法を用いたギャザリングアートの作品を中心に、これまで制作された数々の作品が流れます。その一つひとつが、気の遠くなるような緻密な構成からつくられており、見る人を作品の中の世界へと引き込みます。

講義5

ギャザリングアートと一言にいっても、テーマや使用する素材、構成の仕方によって様々な表情を感じることができ、受け手を飽きさせない、いつまでも観ていたくなるような作品が画面を彩ります。ギャザリングアート以外にも、様々なコンセプトから作品を制作されており、今まで市川先生の作品を知っていた受講生でも新たな一面を垣間みることができる内容の映像となっていました。映像に使われている音楽の選定も作品の雰囲気をより魅力的に見せるものとなっていて、会場全体が異空間へ移動したかのような錯覚を覚えさせます。10分間の映像のみでの作品・経歴紹介ではありましたが、作品をご自身の分身と言われるだけのこともあり、先生の作家人生を言葉以上のもので感じ取ることができました。

第2部:ワークショップ「東京のレシピを考えよう」

ワークショップ1

後半は、事前に出された課題を元にお二人に講評をしていただきます。テーマは「東京のレシピ」。このテーマに沿って決められた大きさの範囲内で、自由に制作をしてくるというのが今回の課題です。まずは参加した受講生同士が、自由に互いの作品を見る時間です。手描きでイラストを描いてきた人や冊子を作った人、抽象的なビジュアルを制作してきた人もいれば、立体作品を持って来た人など解釈の仕方は様々です。中にはサイズの規定を超えた作品を作ってくる人も居たりと、参加した受講生の熱量の高さが伺えました。

ワークショップ2

先生も含めた全員が一人3票ずつ投票をし、上位に選ばれた作品を発表していきます。上位に選ばれた作品も色の着いた砂を使った作品や、「東京」という文字のタイポグラフィをテーマにした作品、道路標識をモチーフにした立体物のものなど様々。そして最後に第一位の発表です。一位に選ばれたのは大型立体作品の江戸前そばBOX。立体の側面には、手描きで緻密な文様が描かれた圧巻の作品に、思わずトール先生も「胸が熱くなった」とのコメント。

総評

全体的に先生方の講評もいつもより少し辛口でしたが、どの作品についても表現者としての「見せ方」と課題の解釈の仕方がポイントになっているようです。ほんの少しの手間をかけるだけで見え方が大きく変わることに気付かされ、また与えられた課題をどれだけ柔軟に捉えることができるかが、今後とても大切だということを学ぶことができました。リラックスした雰囲気の中にも大切なことはしっかりと伝える、お二人の人柄とクリエイターとしての眼が光った、充実した時間となりました。両先生、本日はありがとうございました。

Text by 東京デザインプレックス研究所 修了生
高山淳平

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