プレックスプログラム レポート

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「旅、建築、ドローイング」

2014年6月18日(水)

建築家

光嶋 裕介 氏

Yusuke Koshima

<PROFILE>

建築家。東京・神戸在住。1979年、米ニュージャージー州生まれ。早稲田大学理工学部建築科で石山修武に師事。大学院修了後、独ベルリンのザウアブルッフ・ハットン・アーキテクツにて4年間勤務。2008年に帰国し、光嶋裕介建築設計事務所を主宰。
2010年、思想家・内田樹氏の自宅兼道場(合気道)である凱風館を設計。SDレビュー2011入選。2010年より桑沢デザイン研究所、2013年から大阪市立大学にて非常勤講師を務める。
さらに2012年からは首都大学東京・都市環境学部に助教として勤務中。作品に「凱風館(神戸、2011)」「レッドブル・ジャパン・オフィス(青山、2012)」「祥雲荘(吉祥寺、2013)」などがある。著書に『みんなの家。~建築家1年 生の初仕事~』、『幻想都市風景』、最新作に『建築武者修行〜放課後のベルリン』がある。

光嶋 裕介 氏

第1部:トークショー「建築家とは」

講義1

本日のプレックスプログラムは、建築家の光嶋裕介さんに行っていただきます。アメリカで生まれ、ほとんどを海外で過ごした光嶋さんが、建築家になりたいと思ったのは18歳の頃。 “空間”という言葉の意味さえもわからない状態でした。しかし、ル・コルビジェがスケッチしたアテネのパルテノン神殿を見て、描かれた線がただの視覚的な情報ではなく、ある解釈を重ねたものだと感じ、その空間性を自分で感じるために一人旅へ出ました。この旅に出るという行為こそが、『結果的に一番勉強になった』と言います。

講義2

『正確な情報を視覚的に切り取る写真に対して、スケッチは写真より不正確な情報でも、時間がわかる絵日記。』光嶋さんは 旅先で目の前にある建物を、どうして屋根はこの形なのか、どうして窓はこの素材なのか、とスケッチをしながら「建築の本質」を考えます。ただ 古い時代と新しい時代が対比、または上書きされていくのではなく、スペインのアルハンブラ宮殿のように、その時代の価値観が同居していく「記憶の器」、そして「数値化できないメッセージ」を発信しているのもまた建築の魅力なのだと語ります。

講義3

師匠である石山修武さんの元で過ごした6年間から建築の面白さを学び、好きな建築家に宛てたラブレターの末、ドイツで過ごした4年間では、常識を覆す建築の在り方を学んだ光嶋さんは、2008年に帰国し独立。『内なるものをアウトプットするアーティストではなく、僕は建築家です。職人として現場の人たちと一緒に考え、クライアントがどのような空間を欲しがっているかという「外への意識」を持ってつくっています。そういう意味で、建築家は指揮者、そして作曲家の両方です。人と対話をして作り上げていくので、情報の発進力が問われる職業でもあります。』

講義4

そして、色々なものが同居している状況を画で表現したドローイングもご紹介いただきました。この“Connected Borders 境界線をぶつけるような建築“や文章を書く瞬間は、光嶋さんにとって自分と考える時間になっているそうです。『日本が赤ならアメリカで生まれた僕はピンク、そしてヨーロッパは青。青の本質を知るためには、ピンクは青の中にダイブしなくてはいけない。そのためにはコミュニケーション能力や、何か一つ”オタク“になれる要素というのも必要です。』限られた時間の中で、受講生ひとり一人に何が響くのか、様々な光嶋さんの想いを発信していただきました。

第2部:ワークショップ「伝えたい自分の部屋の魅力」

ワークショップ1

後半はワークショップです。本日のお題は「部屋の図解」。某雑誌が“クリエイターの部屋”という特集を組んだとして、自分の部屋の図解を書き、その魅力をプレゼンするという内容です。「部屋」という空間にはひとり一人の個性が宿っているものなので、それをわかりやすく伝えるイラストや文字など、表現方法は自由です。作業時間は30分弱。その後、A〜Fのグループに分け、一番良いものを代表者がプレゼンします。初対面の人が多い中、ある意味自分をさらけ出すような課題に、良い緊張感を感じます。

ワークショップ2

その人の性格や生活感が表れる「部屋」の図解は、なかなかグループ内でも何が良いのか判断が難しそうでした。イラストだけで表現した人、または文字を多く書いて説明した人など、部屋に対する興味の違いが同じ一枚の紙からも感じられました。多数決をとるグループもありましたが、最終的に、絵がうまい人やわかりやすい図解が代表に選ばれていました。

ワークショップ3

いよいよ発表です。引っ越した当初からを時間軸で表した部屋、細々とした物が溢れる100%趣味の部屋、魅力を伝える構図を選び、文字を使わずイラストのみで描いた部屋、好きな物たちに占領された部屋、そして部屋ではなくトイレを描いた人など、表現方法や着目点からも個性を感じられました。また、他にも、ボディ・マインド・ソウルというコンセプトの元、必要以外のものを削ぎ落として生活をするという独特なスタイルの人や、子どもの頃を思い出す理想の部屋を描いた人もいました。

総評

ひとり一人に対し、光嶋さんから感想がおくられます。『建築は五感すべてに影響します。自分のカラダが全ての大事な物差しになるので、普段住んでいる空間をよく理解しているかどうかもわかります。物に対する想いや空間認知力の高さ、そして空間が物の集合体であるということを表している良い例など、面白いものがありますね。』そして、最後に著名人のアトリエからも部屋の解析をし、まとめへ。『身体の延長としての部屋の在り方は、それぞれの記憶と関係性がつくります。そこに他人の視点があるかないかで大きく変わってくるのです。僕は、他者と対話しながらこういった関係性を考え、その人にあった建築をつくっていきたいと思っています。 』光嶋さん、本日はありがとうございました!

Text by 編集&ライティングコース修了生
矢田貝 恵

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