プレックスプログラム レポート

  • クリエイティブワークショップ

「お店を盛り付ける」

2013年11月2日(土)

料理人

木下 威征 氏

Takemasa Kinoshita

<PROFILE>

『アイアンシェフ』『王様のブランチ』等TV出演する他、各種メディアにも多数紹介されるフレンチシェフ。
辻 調理師専門学校を主席で卒業後、フランス、イタリアに渡り修行。帰国後、日本のレストラン業界に大きく影響を与えた原宿「オー・バカナル」の料理長を務める等の活躍を経て、現在では白金高輪「オー・ギャマン・ド・トキオ」を筆頭に4店舗を運営する会社を立上げ、代表取締役兼総料理長を務める。

木下 威征 氏

第1部:トークショー「諦めない気持ちが人を動かす」

講義1

今回は、プレックスプログラム初の料理人、木下威征さんをお招きしました。料理とデザインとはジャンルが違うように思いがちですが、イマジネーションを駆使して相手を喜ばすということには共通点があるのではないでしょうか。木下さんが、どのような思いを込めて料理を提供しているのか、創造力のヒントになる講義の始まりです。

講義2

幼い頃から負けん気が強くて悪ガキだったという木下さんは、高校生になる頃には不良グループのリーダーに。当時を振り返ると両親に相当迷惑をかけたとか。また、更生できたのも家族や友達がどれだけ自分のために尽くして、支えてくれたかを身にしみて感じたからだといいます。特別な思いを抱いて辻調理師専門学校に入学したのち、猛勉強の結果が認められ、見事フランスの三ツ星レストランに推薦で入ります。

講義3

ここからが本当の意味での厳しさを味わうことになります。見習いとして下積み時代を重ねていきながらプロとして第一歩を踏み出した木下さんは、経験に裏打ちされた自信とともに帰国します。その自信が驕りだったと話す木下さん。帰国後最初に就いたのは板場ではなく、接客でした。しかし、この経験があったからこそ、お店で働くさまざまなポジションのスタッフの気持ちやお客様との対話について考えるようになったといいます。

講義4

2008年に独立した木下さんのお店は、少しわかりづらい場所にあり、メニューがありません。足を運んできてくれた人が、「いま一番食べたいもの」を提供するスタイルをとっています。そのきっかけとなったエピソードでは会場内も感動につつまれました。「この料理を食べてほしいではなく、この人のためを思って作った料理を食べてほしい」と話す木下さん。お店に足を運んでもらうには、人の心を惹きつけて動かすことが大切なんですね。

第2部:ワークショップ「付加価値のあるレストランとは?」

ワークショップ1

「和とフレンチの融合」をコンセプトに、代官山にある居抜き物件を活用し10,000円単価の価値ある一軒家レストランへとデザインしていきます。ただ、そこには食器はなく、新たな費用を捻出できません。この問題をどうやって解決していくか、グループディスカッションの始まりです。お店の方向性をどう展開していくか、お皿の調達方法はどうするか。白熱した議論が交差し、会場内も熱を帯びた状態です。

ワークショップ2

「庭園の葉っぱや、野菜を器にみたてる」、「お客さんのとっておきのお皿を持ってきてもらう」や、「陶芸家を目指す若者の作品を使わせてもらうかわりに、プロモーションする」など、たくさんのアイデアに対して一つずつ丁寧に講評していただきました。「日本の伝統技術は世界から見ても高いけど、周知する術を持たずに廃れてしまうのは惜しい」と現在、伝統工芸品の包丁をプロデュースしている木下さん。

ワークショップ3

「今回の『食器がない』問題をどうやって乗り越えるか。発想の転換が大切で、そこには正しい答えはありません」と木下さん。ご自身もかつて、器がなくて川原で使えそうな石を探して活用した経験があったそう。自分たちの弱点は何かを知り、どうやって補うのか、はたまた強みと捉えるのか、自分らしさと向き合うきっかけにもなったワークショップでした。

総評

「全ては人であり、つなぐのは自身の行動力」と話す木下さん。お客様の要望を聞き出し、そこに自分らしさをプラスすることは、デザインの世界にも共通する重要な姿勢です。現在のスタイルも、出会ってきた人たちとの思いが幾重にも積み重なって確立されたもの。様々な経験をしてきた木下さんの言葉は謙虚でありながらも、力強く、信念が伝わってくるものでした。木下さんの男気のある講義に受講生も刺激を受けたようです。ありがとうございました!

Text by 東京デザインプレックス研究所修了生
村田知子

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