プレックスプログラム レポート

  • クリエイティブワークショップ

「ルールと変化」

2013年10月19日(土)

Webクリエイター

勅使河原 一雅 氏

Kazumasa Teshigawara

<PROFILE>

Webクリエイター・映像作家。1977年池袋に生まれ、池袋に育つ。中学校卒業後、日本橋服地加工工場に勤務。20歳のとき出版社のアルバイトで初めてWeb制作に携わる。のちWeb制作会社などを経て2006年に独立、以来「qubibi(首美)」を屋号に活動を行う。One Show Interactive 金賞、カンヌ国際広告賞 銀賞、文化庁メディア芸術祭 優秀賞、東京インタラクティブアドアワード 銅賞など受賞歴多数。

勅使河原 一雅 氏

第1部:トークショー「ルールと変化」

講義1

本日のプレックスプログラムは、Webクリエイターの勅使河原一雅さんをお迎えしての講義です。
まずご自身の屋号でもある『qubibi(首美)』について。「首は美しいと書いてqubibi、接続するところ、何かと何かの間での美術的行為ということで、独立したときに名前を付けました」という紹介から講義は始まります。「昼ドラみたいなちょっと混沌とした人生を送って、Webデザイナーになった」と話す勅使河原さんの講義は、どのようなものになるのでしょうか。

講義2

次に90年代のインターネットの認知が広がり始めた頃に、影響を受けたというWebサイトが次々に紹介されます。「当時はブログもないので、各々が本当に表現の場として自由にやっていた。今よりも周りの人のこととかを気にせずに何でもできたんです」という見たことのないような独創的なWebアートの新鮮さに、受講生も引き込まれます。そして大手の出版社のインターネット部門でWebデザイナーとしてのキャリアをスタートさせたそうです。

講義3

3年間で56ものサイトを制作した六本木ヒルズのイベントサイトは「ビクビクしながらも、やりたい放題だった」という勅使河原さんの遊び心が溢れていました。
そして独立後の最初の作品であり、第二のWebデザイナーとしてのスタートとなった作品という帽子メーカーのWebサイト『DAYDREAM』が紹介されます。「時計の右回り左回りの時間の進行の動きを絡ませて、止まったときには帽子のディティールが見える」という幻想的な作品で、カンヌ広告賞を受賞したこの作品を機に、世界観の構築を期待した依頼が多くなっていったとのことでした。

第2部:ワークショップ「繰り返し絵本を作る」

ワークショップ1

続く本日のワークショップは「絵本を作る」です。どの媒体を制作しても勅使河原さんの根本にあるという『ルールと変化』の考え方を用いた絵本をチームで制作します。
「繰り返すっていうのは重複するということで、繰り返される度に色が濃くなっていったり、重なって骨になっていく想像をしてください。それがルール性だと僕は考えています。繰り返しの予測が当たると快楽に繋がって、それが骨組みになると今度は変化が見えてきます」 という解説を、各チームはどう解釈したのか。

ワークショップ2

まずは「魚を釣って、それを餌にして、より大きな魚を釣り、最後は大きな魚に食べられる」というルールと変化の絵本を作成したチーム。「飽きないところで大きいのが出てくるタイミングもいい、でも文字を入れた上でのレイアウト性も見たいです」と文字を入れなかったことで絵本ではなく紙芝居になってしまっていることを指摘されました。
続いての「暗くて眠れない子供に、次々と明るい照明を付けるお父さん」という絵本は「このままどうなっちゃうんだろうという発想は面白い。あとは絵の工夫ですね」とのコメントでした。

ワークショップ3

3チーム目は動物達がスープの具材を持ち寄るというお話ですが、最後に動物自身がスープの具材になってしまうという少々ブラックな展開。「いいと思います。がらがらどんの最後もすごくギョっとすることが書いてあるし、絵本ってそういうのが多いです」と絵本界の三大繰り返し絵本である『三びきのやぎのがらがらどん』を例にあげて講評されていました。

ワークショップ4

その後も「リスが森で食べ物を見つける」「モグラが地面を彫り進める」「動物と散歩に行くと好きな食べ物を見つける」など動物を用いたアイディアが続きます。リスが食べ過ぎて動けなくなるオチなどには「もう少しひねりがあると面白かったですね」とのコメント。やはり慣れない絵本作りはなかなか難しいようです。
最後のチームの、具材と各国の言葉が次々に鍋に飛び込む「ナーべー大陸」は勅使河原さんも「レイアウトも綺麗だし、一番好きでした」とお気に入りの様子でした。

総評

「Webというのはすごく構造的なので、僕がWebデザインをしていて、映像もやっている、それらは全然違うように見えて同じことをやっています。構造でもって受け止めるという感じ方が大事です」と構造への総評を頂きました。また「作るということは精神衛生上すごくいいことなので、だめになりそうな時とか、寂しさとかにやられたりするときにこそ、作るということをやってみてください。気持ちがすごく安定するので、そういう意味では自分の為に作るという考え方は、すごく健全だなと思います」と悩みの多い受講生へのアドバイスも。勅使河原先生、本日はありがとうございました!

Text by 東京デザインプレックス研究所修了生
久保隆平

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