プレックスプログラム レポート

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「クリティカルデザインで創造する未来」

2013年3月10日(日)

現代アーティスト

スプツニ子! 氏

SPUTNIKO!

<PROFILE>

1985年東京都生まれ.ロイヤル・カレッジ・オブ・アート大学院 Design Interactions学科修士課程修了.テクノロジーやフェミニズム,ポップカルチャーをテーマとする映像,デバイス,音楽作品を制作.テクノロジーによって変化していく人間の在り方や社会を反映させた,社会批評的な作品が中心となっている.2009年,原田セザール実との共同プロジェクト《Open_Sailing》が,アルス・エレクトロニカで[the next idea]賞を受賞.2010年,《カラスボット☆ジェニー》が,文化庁メディア芸術祭で審査委員会推薦作品に選ばれる.展覧会に,「東京アートミーティング トランスフォーメーション」(東京都現代美術館,2011),「Talk to Me」(ニューヨーク近代美術館,2011)など.

スプツニ子! 氏

第1部:トークショー「クリティカルデザイン=「?」を生むためのデザイン」

講義1

今回は現代アーティストとして、世界各国を飛び回るスプツニ子!さんをお迎えしてプレックスプログラム行いました。まずは2010年に発表し、youtubeで1週間で全世界10万以上の人が観た「生理マシーン。タカシの場合」についての解説から。「何故まだ人間に生理という現象が起きるのだろう?」。こんな疑問から始まったこの作品の背景にはテーマにも挙げた「クリティカルデザイン」が含まれています。また大学の卒業制作だったこの作品は翌年にはNYのMOMAに展示されるなど、スプツニ子!さんを世に広める作品となりました。

講義2

続いては翌年に発表した「カラスbotジェニー」。「テクノロジーは人間と自然を切り離すものではなく、近づけるためにあるのではないか?」常々そう思っていたスプツニ子!さん。そこで英国のケンブリッジ大学等の動物学者に「動物と話したい!」と直談判し、学者からお奨めされたのが、カラスだったとのこと。そんなスプツニ子!さんの想いを具現化したのがこの作品です。
「今日はバイオテクノロジーを扱うので、、」という前置きの後、紹介してくれたのがその名も「チンボーグ」。自分でコントロール出来るようで出来ない部位に興味があったので、心拍数によって変化する身体代替品を作ったそうです。

講義3

一通り作品の紹介が終わった後は、今回のテーマでもあるクリティカルデザインの解説です。「問題解決がデザインの定義としたらなば、クリティカルデザインは問題提起です。言い方を変えると”各々にとって望ましい未来”を議論することです。」 スプツニ子!さんが代表的なクリティカルデザイナーとして紹介したのが「ドラえもん」!会場が一気に湧きます。未来の道具を出し、それが全ての人にとって有益ではないところに意義あると説明があります。「クリティカルデザイン」と「ドラえもん」を合わせての造語「ドラディカル・デザイン」を推し進めていくそうです。

第2部:ワークショップ「バイオテクノロジーとデザインの未来」

ワークショップ1

今回のワークショップは少し趣向を変えて、ワークショップの前に「先端のバイオテクノロジー」に関して、3つのトピックスを現役の医学部生に説明していただきます。その3つとは①人工テレパシー ②手術用ロボットの遠隔操作 ③クローン技術です。これらの説明が医学部学生チームからありました。 先端も先端、ほとんどの情報が2013年3月に正式発表されたもの。あまりのバイオテクノロジーの進化に、受講生は正に唖然とした表情で聞き入ります。
そのトピックを元にしてのグループワークショップに突入です。

ワークショップ2

ワークショップは受講生10人+医学生2人の12人の5チームになって編成されました。そのチーム毎に「バイオテクノロジーとデザインの未来」について議論し、発表をします。医学生から先ほどのトピックの補足があり、その後受講生から「これは可能なんですか?」「こういうのやってみたいんですけど既にありますか?」等々の質問があり、医学部生達がそれに答える形でディスカッションがスタートです。ディスカッション時間はスプツニ子!さんの提案でわずか30分。集中して取り組んでいる内にもう時間になってしまいました。

ワークショップ3

まずトップバッターのチームが提案してきたのが「新臓」です。今までの五臓六腑ではない臓器を個々人で選べるというものです。例えば植物や動物の特徴を模した臓器を付け加えることで、今まで不可能だった場所に行けたり、できないと思われていたことができるようになるというアイデアです。続いては「テレパシー社会」の提案。クリティカルデザイン的に、病気で寝たきりの方でも意思疎通ができるという良い面と、独裁者による洗脳に繋がるのではないかという悪い面、両面からの発表がありました。

ワークショップ4

その他、お坊さんが難行苦行の上に達した悟りをそのままテレパシーとクローン技術を融合させることで頂いてしまう「サトリ・エレクトロ」。同じく上記3つのバイオ技術を組み合わせて知能的に完璧な人間を造り上げてしまう「スーパー人間君」。人間の目を取り外しソケットにして、遠くのモノや人が行けないところをリアルに見る技術。有名人に着せ替え人形感覚でなれる技術等々、あまりにも突拍子もないアイデアの連発にスプツニ子!さんも思わず「グループ展やろうよ~」と叫ぶ展開に。

講評

また、一緒に議論に参加した医学部生からは「私たちとは全く違う観点からの発想がとっても面白かったです」との声をもらいました。
最後にスプツニ子!さんから「今日は短い時間にも関わらず、未来のデザインが沢山でてきて、そのどれもがクリティカルな要素を持っていることに感動しました。またデザイナーはもっとバイオに関わって欲しい。技術者が発想しえないアイデアがこんなに出てくる場面に出くわすとそう思わずにいられない。」と熱いメッセージを頂きました。
スプツニ子!さん今日はありがとうございました。

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